碩学の論攷、碩学への追想より

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2018/12/05

坂本太郎博士『古代史の道』より

| by 慈鎮和尚
 この頃は日曜、祭日というと、各地の古本屋あさりや、郊外散歩に出たりした。相棒は東洋史の植村清二君、選科生の圭室諦成君であった。植村君の博学にはいつも恐れいるばかりであった。さすがに大学という所には、えらい人が来るものだと、感嘆した。史学会の学生委員で時々健筆をふるっていたが、その文章にも頗る魅力があった。私はこの人から鴎外のえらさを教えられ、それは私の精神的な糧となった。また、私の下宿にある書物を見て、「君の所には史料はあるが、歴史の本はないなあ」とからかった。これは全く適切な批評で、一言もなかった。
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