カウンタ

2603985(Since 21st May 2010)

研究ブログ

研究ブログ >> 記事詳細

2018/12/05

東京都教育委員会による「併設型都立中高一貫校改革案」が持つ意味は何か

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

2018年11月22日(木)から平成30年12月21日(金)まで、東京都教育委員会では2019年度から2021年度の「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」の骨子案を定例会で示し、都民の意見を募集しています[1]。


骨子案は2016年2月に策定された「都立高校改革推進計画・新実施計画」が2019年3月で完了するのに合わせて起案されたもので、立川国際中等教育学校に小学校を併設して小中高一貫校にすることや、立立川高等学校に都立高校としては初めてとなる理数科を設置することなどが計画されています[2]。


これらの計画案の中で特に注目されるのが、10校ある都立中高一貫校のうち、高等学校に中学校を併設する白鷗、両国、富士、大泉、武蔵の各校について高校段階での生徒募集を停止するという方針です[2]。


東京都教育委員会によれば、今回の措置は「高校段階での生徒募集を停止するとともに、中学校段階からの高い入学ニーズを踏まえ、中学校段階での生徒募集の規模の拡大を含めて検討」するものとされています[2]。


確かに、都立の中高一貫校は進学指導重点校に比肩し得る大学進学の実績を残しています。そのため、より少ない経済的な負担によってより高い水準の大学に進学することを目指す保護者にとって、都立の中高一貫校への「中学校段階からの高い入学ニーズ」があるということは容易に推察されます。


従って、高校段階での生徒募集を停止し、従来高校段階での入学者に割り当てられていた定員を中学校段階からの生徒募集に適用することは、都民の需要に応えることになるでしょう。


その一方で、都立の中等教育学校型中高一貫校だけでなく、併設型の中高一貫校でも、中学校部分と高等学校部分の6年間のうち、最初の5年間で所定の課程を修了させ、最後の1年間は大学受験に備えた実践的な教育が行なわれることは珍しくありません。


この場合、高校段階で入学する生徒の学力そのものは、通常の都立高校の受検の場合には問題ないものの、併設型を含む中高一貫校に求められる水準に達していないこと、あるいは高校段階で入学する生徒の数が中学校段階から入学した生徒に比べて少ないため、すでに形成された学年や学校の雰囲気に馴染めないということは、あり得べき問題点として指摘することが出来ます。


その意味で、高校段階での生徒募集の停止と中学校段階での生徒募集の規模の拡大という計画は、「中学校段階からの高い入学ニーズ」という大義名分だけでなく、全ての定員を中学校段階で募集することで学力の均一化と一層の向上を図り、進学指導重点校を補完し、場合によっては先んじる進学実績を挙げたいという行政当局の思惑を反映していると言えるでしょう。


現時点で実施時期が未定とされているのは、中高一貫校の生徒募集を中学校のみに限定することで影響を受けるであろう私立の中学校や中高一貫校との本格的な調整が控えているためと考えられます。


それ故に、私学側との調整が終われば計画案は速やかに実行に移されることになります。


今後の動向が注目されるところです。


[1]《御意見募集》「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)」の骨子について. 東京都教育委員会, 2018年11月22日, http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2018/release20181122_01.html (2018年12月5日閲覧).
[2]都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子. 東京都教育委員会, 2018年11月22日, http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2018/files/release20181122_01/02.pdf (2018年12月5日閲覧).


<Executive Summary>
What Is the Most Remarkable Point of "The Second Master Plan for Reformation of Tokyo Metropolitan High Schools"? (Yusuke Suzumura)


The Tokyo Metropolitan Board of Education announces call for public comments on 22nd November 2018. Their new master plan entitled with "The Second Master Plan for Reformation of Tokyo Metropolitan High Schools" is very remarkable, since it includes a plan for reformation of five Tokyo Metropolitan Junior and High Schools.


トラックバックURLhttps://researchmap.jp/index.php?action=journal_action_main_trackback&post_id=70801
15:45 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | トラックバック(0) | 評論