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2019/03/11

2019/3/8 第25回前潟干潟研究会 会議

Tweet ThisSend to Facebook | by 瀬戸内海の魚
・2019/3/8 第25回 前潟干潟研究会 会議
 
 同日午前中に,大野町漁業協同組合会議室(広島県廿日市市大野)で前潟干潟研究会が開催されました。同研究会は主に干潟のアサリを対象としています。広島ブランド「大野あさり」の産地です。議題は以下のとおりでした。
1.あいさつ
2.平成31年度水産多面的事業の活動計画について
3.平成31年度地元アサリ採苗の計画について
4.前潟におけるクロダイ成魚の食性 −アサリ親貝の食害状況−
5.漁場管理(被覆網)効率化に向けた検討について
6.その他

 平成28年度から5年間,水産庁の水産多面的機能発揮対策支援事業に採択されています。
 水産庁ホームページ: http://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_thema/sub391.html
 その活動の一つが地元のアサリ採苗の取り組みです。
 →「これでバッチリ「大野方式」アサリ稚貝採苗」瀬戸内通信No.27,p.6-7.
   http://feis.fra.affrc.go.jp/publi/setotsuu/setotsuu27.pdf

 当方は,4.について講演・説明させていただきました。内容は次のとおり。
・全国のアサリ漁獲量の状況(2017年)
・瀬戸内海区におけるアサリ漁獲量の状況,瀬戸内海11府県の状況(2017年)
・前潟におけるクロダイ成魚の食性 −クロダイ成魚によるアサリ親貝の食害状況−

 3月初めに報道されたカイヤドリウミグモの例を挙げて,他産地産種苗の放流は厳重な注意が必要なこと,被覆網対策が無かった頃の大野前潟におけるクロダイ成魚(全長25cm以上)の食性分析結果の紹介(アサリの餌生物重要度指数(IRI)はなんと82%,アサリは食われ放題だったのです),岩国門前干潟(広島湾),山口湾干潟(周防灘)での例を挙げながら,干潟(漁場)の被覆網は不可欠であることを説明しました。早期の被覆網対策がなければ,今の前潟は存在しなかったことでしょう。
 3/4に最新(2017年)の農水省・市町村別統計が公表され(統計担当の皆さん,お疲れ様です),2017年広島県のアサリ漁獲量81tのうち,廿日市市(ほとんど大野)が70tでした。やればできる!前潟の皆さんの漁場管理活動の賜物です。他産地が軒並み壊滅状態に陥るなかで,この奇跡的な光景を目の当たりに出来て,とても有り難く感じています(本当にミラクル!)。
 被覆網の設置時期,あるいは被覆網を外して底質改善を促す時期の検討の基礎的知見としてもらうため,大野瀬戸の干潟におけるクロダイの出現の季節変化について,取りまとめているところです。これは,毎月1〜2回,5年間にわたって,干潟に出現する全ての魚類の種類,数,サイズを目視観察で調べたものです(やはりクロダイが主役。真冬でもクロダイは0ではないですが,とても少なくなります)。
 お役に立てるべく,頑張って分析中です。

 なお,クロダイ成魚について,前潟アサリ漁場で刺網を用いた調査の結果は次のとおりでした。
・重田利拓・斉藤英俊・冨山 毅・坂井陽一・清水則雄(2016):瀬戸内海広島湾のアサリ漁場の干潟における大型クロダイAcanthopagrus schlegelii(タイ科)の出現の季節変化,広島大学総合博物館研究報告,8: 31-37.  
 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00042514
 お役に立てば,幸いです。


図1.重田ほか(2018)日本水産学会秋季大会発表スライドより.
  干潟でのクロダイvs. アサリ。クロダイの穴掘り採食行動。


図2.第25回前潟干潟研究会の講演発表スライドより.
  干潟漁場管理。被覆網。メッシュ袋を用いた天然アサリ稚貝の採苗。日本のアサリ漁獲量は1983年のピーク時の160,424tから,2017年には過去最低を更新する7,072tに激減。これは1983年の僅か4.4%(つまり,95.6%減少)。極めて深刻な状況。
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