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2019/03/13

「大会開始500日前」を迎え改めて「復興五輪」と称することの不適切さを非難する

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

昨日、2020年7月24日(金、祝)に開会式が行われる予定の東京オリンピックの開始500日前を迎えました。


オリンピック及びパラリンピック東京大会については、招致の段階から2011年3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震とその後の津波や原子力発電所の事故などを含む東日本大震災からの復興の象徴として開催することを主張し、開催が決定してからも「復興五輪」という表現が用いられるものの、人口に膾炙していないことは周知の通りです。


そして、「復興五輪」という表現が一般に浸透しない理由が、大会の主催都市が東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県や宮城県、あるいは岩手県ではなく、軽微な被害に留まった東京都であり、「東京でオリンピックを開催することで日本が震災から復興したことを世界に示すことができる」という論法が破綻している点に求められることは、すでにわれわれが指摘するところです[1]。


もちろん、東日本大震災の際に東京都でも人的、物的な被害が生じましたし、計画停電や節電が行われたことも事実です。その意味において東京都が東日本大震災の被災地であることは疑い得ない事実です。


しかし、現在の状況は、軽微な被害を受けた東京都が、今も余震が続き、東京電力福島第一原子力発電所の事故などの影響で5万人を超える人々が避難する東北各県[2]を代表するという、倒錯的なものです。


このように考えるなら、「復興五輪」という考えには適切さはなく、大会関係者がこのまま「やりたいんだからやるんだ、つべこべ言うな」、あるいは「施設を整えれば大丈夫。理念など不要だ」という姿勢を貫くのなら、東京都は、東北地方の人々から「われわれの不幸によって五輪を招致し、大会による利益を手にする貪婪な都市」として顰蹙されることになります[3]。


以上より、大会組織委員会の採るべき方法が、今や空文と化した「復興五輪」という文言を取り下げるか、これまでの詐術的な態度を改めて東北各県を主たる会場に改めるかのいずれかであることは明らかです。そして、大会の開幕までの期間を考えれば後者は実現性に乏しく、自ずから前者を選ばなければならないことも明白です。


大会開始の500日前を迎え、われわれは改めて2020年のオリンピック及びパラリンピック東京大会を「復興五輪」と称することの不適切さを指摘し、人々を惑わせる標語が一日も早く撤回されることを願うのです。


[1]鈴村裕輔, 「震災からの復興」を旗印にオリンピックを誘致しようとする東京都の不思議な態度. 体育科教育, 59(9): 15, 2011.
[2]鎮魂、一歩ずつ前へ. 日本経済新聞, 2019年3月12日朝刊39面.
[3]鈴村裕輔, 体育の日に改めて2020年東京五輪を「復興五輪」とする考えを難ずる. 2016年10月10日, https://researchmap.jp/joiuqoxp4-18602/.


<Executive Summary>
"Reconstruction Olympics" Is a Dishonourable and Dishonest Slogan for the 2020 Tokyo Olympic Games (Yusuke Suzumura)


The 12th March 2019 is 500 days before the opening of the 2020 Tokyo Olympic Games. It is not adequate slogan for the Tokyo Olympic Games to claim "reconstruction olympics", since there is no serious damage in Tokyo by the Great East-Japan Earthquakes of 11th March 2011.


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