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2019/06/13

「ベルナルト・ハイティンクの引退表明」で思い出したいくつかのこと

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

昨日、指揮者のベルナルト・ハイティンクさんが今年9月6日をもって指揮活動から引退することが明らかになりました[1]。


1962年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と来日して以来、2015年まで数次にわたって日本での公演を行ったハイティンクさんではあったものの、今回の引退の表明によって再び日本の演奏会場で姿を見ることはかなわなくなりました。


ハイティンクさんと言えば1961年から1988年までコンセルトヘボウ管の首席指揮者を務めただけでなく、ロンドン・フィルやシカゴ交響楽団の首席指揮者を歴任し、世界各地の主要な楽団を指揮するなど、オランダが生んだもっとも偉大な指揮者の一人です。


そのようなハイティンクさんが録音した音源を私が初めて購入したのは、1995年7月のことでした。


駿台予備校で行われた夏期講習の帰りにお茶の水のディスクユニオンに立ち寄ったところ、たまたま目に留まった、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と1977年に録音したベートーヴェンの交響曲第9番『合唱付き』のLPレコードでした。


それまで、ラジオなどでハイティンクさんとコンセルトヘボウ管の演奏を耳にし、あるいはNHKの衛星放送第一でロイヤル・オペラハウスの公演を視聴したものの、ベートーヴェンの交響曲第9番の録音は聞いていなかったため、2000円ほどで購入しました。


弦楽器がふくよかな音色を奏でるコンセルトヘボウ管と異なり、ロンドン・フィルとの演奏はどちらかと言えば鋭敏で、それまで飄々とした指揮者と思っていたハイティンクさんの野心的な一面に触れたような印象を持ったものでした。


ところで、私がコンセルトヘボウ管の存在を自覚的に捉えたのはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と改称した3年後の1991年のことでした。


この年はコンセルトヘボウ管の来日公演があり、テレビ番組の合間に宣伝も行われていたため、当時の首席指揮者であったリッカルド・シャイーの名前とともに印象深く思われました。


当時は、『コンセルトヘボウ管をヨーロッパの名門楽団の一つとしてはいたものの、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に比べれば一段格下の楽団という扱いであったことは、例えば音楽之友社の『世界のオーケストラ123』(1994年)などからも明らかでした。


また、ハイティンクさんも職人的な指揮者の部類に分けられるものの、いささか物足りなさが残っていました。


それが、今やコンセルトヘボウ管をウィーン・フィル、ベルリン・フィルとともに「世界三大オーケストラ」と呼ぶ声もあり、ハイティンクさんも名匠の域に達しました。


「世界三大オーケストラ」については、レナード・バーンスタインとともに一時代を築いたニューヨーク・フィルハーモニックがズービン・メータが退任した1990年代半ば以降低迷したことと無関係ではないかもしれません。


そして、ハイティンクさんもこの20年で自らの音楽をさらに進め、大家の風格を身に着けることが出来たと言えるでしょう。


[1]Guido van Oorschot, Dirigent Bernard Haitink zet na 65 jaar een punt achter zijn carrière. de Volkskrant electronic version, 12th June 2019, https://www.volkskrant.nl/cultuur-media/dirigent-bernard-haitink-zet-na-65-jaar-een-punt-achter-zijn-carriere~b8114c1e/?referer=https%3A%2F%2Fslippedisc.com%2F2019%2F06%2Fbernard-haitink-this-will-be-my-last-concert%2F (accessed on 13th June 2019).


<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Dr. Bernard Haitink (Yusuke Suzumura)


Dr. Bernard Haitink, a conductor, will officially retire on 6th September 2019. On this occasion I remember miscellaneous episodes concerning on Dr. Haitink.


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