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(2010 年 4 月 30 日「研究ブログ」に設置)

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2019/06/17

学年末と course works

Tweet ThisSend to Facebook | by Takebe
今年度の教育業務もほぼ終了、来週にまだ二つ口頭試問の手伝いが残っていますが、それはまあ置いといて、とりあえず今はストックホルムへ骨休めに出張に来ています(研究会 "Elliptic integrable systems, special functions and quantum field theory")。
 
 ストックホルム再訪についてはまた今度。ここではこの年度末のジタバタを記録に残しておきます。
 
 この春学期(1月から6月の、学年後半)の授業の数が多かったのは、以前に書いた通り「やるはずだった講義がキャンセルになってしまったこと」、そして「契約更新の年で、ノルマを多めに消化する必要があったこと」が原因です。お陰で今学期は授業が7コマの週と5コマの週を交互にこなしていました。まあ、教務担当の先生もいろいろ考えてくれて、各週一コマは他の先生の補佐であまりやることは無く、また同じ科目(解析の演習セミナー)を二クラス持つことで準備の時間が半分になり、コマ数から考えていたよりは楽でした(けど、やっぱり大変)。
 
 が、もう一つ、今年度が大変だった理由は、5人の三年生の course work の指導を担当したこと。学生数だけなら去年も5人だったのですが、去年は二年生四人と一年生一人。三年生の場合は course work の評価のルールは四年生の卒論と同等の審査基準になるので(原則として「内容が完全にレヴューの場合は十点満点中七点以下」)、一、二年生よりだいぶ頑張ります。特に、五人の内の三人は最後まで「新しい事」が出来ないかと四苦八苦していました。
 
そのため、十数ページから二十数ページのそれなりに中身のあるロシア語の数学の論文5本の添削が締め切り前の一、二週間に集中。最終的にはこちらも音を上げて、教務に頼んで学生提出の締め切りを延ばしてもらいました(三年生の course work は、大学全体の事務へ提出する卒論と違って学部の事務が担当なので融通が効くし、締め切りが厳しいのは学生の提出ではなくむしろ指導教員の評価書提出)。

残念ながら、「新しい事」と評価できるような course work が出来たのは一人だけ(組み合わせ論の論文をいくつも読んで、自分でかなり証明を補ったり改良したりした)。この人の組み合わせ論の知識はもう私の及ぶ所ではない(λ 行列式と ASM 予想との関係や、平面分割の話などの論文を読んでいた)。三年生を担当すると次年度も自動的に担当が持ち上がるのですが、さてどうしたら良いやら。

もう一人、組み合わせ論をやっていた人は ASM 予想の Kuperberg による 6 vertex model を使った証明を読んでいたので、来年はそこから何か発展的な話題を見つけられると良いんだけれど。

超幾何関数の勉強をしていた一人は、もう一歩 Barnes の積分表示の一般化の話を掘り下げれば「新しい事(正確には、よく知られているけれど、きちんとした証明があまり書かれていない話)」が見つかったかもしれません。これは来年度へ持ち越しか。

Painleve の話("From Gauss to Painleve" の第3章)を読んでいた人は、基礎的な事が分かっていない人なので、「新しい事」は早々にあきらめてもらい、Painleve VI 方程式の Hamilton 系表示の証明に目標を絞って、本で書かれていない簡単な証明を丁寧に埋めてもらいました。来年も続きを読んでもらうかな。

Szego の "Orthogonal Polynomials" を去年から読んでいた人は、零点の分布の話や連分数の話を自分なりにまとめ直し。彼は熱心ではあるけれど、やはり基礎が弱いので、来年も本を読む以上のことは難しいかな。一般化直交多項式にこれまで勉強したことが一般化出来るか、というのは面白い問題だと思うのですが、卒論のテーマとして彼に勧めるのは危険。

来年はこの五人が持ち上がりの上に、来年度二年生になる人が二人、指導教員として私を希望してくれたので、卒論の5人+二年生二人は確定(一人の教員が担当する学生数は8人までなので、ほぼ限度いっぱい)。授業は今年よりは減るとは言え、大変な年になりそうです。
14:33 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0) | 教育