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2019/06/20

大瀬康一さんの「こころの玉手箱」が描く「戦後の復興」の象徴としての『月光仮面』

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

2019年度6月期第3週の日本経済新聞夕刊の連載「こころの玉手箱」を担当しているのは、俳優の大瀬康一さんです。


連載の第1回目となる6月17日(月)の記事の冒頭で、大瀬さんは次のように記しています[1]。


大瀬康一がどこの誰かは知らなくても、正義の味方「月光仮面」といえば誰もがみんな知っていた。今の若い方はご存じないかもしれないが、疾風のように現れて疾風のように去っていく月光仮面のおじさんは子供たちのヒーローだった。
月光仮面のおじさんになる前の私は、東映の大部屋俳優だった。


確かに、テレビドラマ『月光仮面』は一世を風靡しましたし、その後の特撮番組やヒーロー番組にも多大な影響を与えたのは明らかです。


その一方で、月光仮面と祝十郎を演じたことで知られる大瀬さんではあるものの、今や月光仮面そのものが歴史的な存在となりつつあり、「今の若い方はご存じないかもしれないが」という大瀬さんの一言は現実味を帯びています。


それとともに、次の記述はわれわれの注意を惹き付けます[2]。


1958年2月に放送の始まった「月光仮面」には当時突貫工事で建設中だった東京タワーの姿が何度も映っている。月光仮面と探偵・祝十郎の2役で出演した私の脳裏にも、ロケに出るたびに背が伸びるタワーの様子が焼きついている。


確かに、『月光仮面』の放送は1958年2月に始まっており、まさに1958年12月の東京タワーの竣工と時を同じくして放映されていました。


その意味で、大瀬さんの筆は、日本の戦後の復興を象徴する東京タワーの完成と相前後して放送された『月光仮面』が、テレビという戦後の日本の人々の生活の基礎となる媒体を通して広く人気を博し、戦後の伸び行く日本の象徴のひとつであったという事実、あるいはテレビと社会の関係をわれわれに改めて想起させると言えるでしょう。


[1]月光仮面のフィギュア. 日本経済新聞, 2019年6月17日夕刊14面.
[2]完成途上の東京タワー. 日本経済新聞, 2019年6月17日夕刊14面.


<Executive Summary>
Mr. Koichi Ose and "A Casket of My Heart" (Yusuke Suzumura)


Mr. Koichi Ose, an actor, writes A Casket of My Heart on the Nihon Keizai Shimbun from 17th to 21st June 2019.


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