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2019/07/23

Heteroepichloë sasae ササのてんぐ巣

Tweet ThisSend to Facebook | by Aciculo

 Heteroepichloë sasaeは、日本全国の寒冷地で生育しているチマキザサなどのササ属植物に「てんぐ巣症状*」を引き起こす。ちなみにササ類に「てんぐ巣症状」を起こす病原菌はAciculosporium takeなど他にもある。Heteroepichloë sasaeが感染したササの場合は、先端の葉をぐるっと包み込む黒い皮革状の「子のう子座」が現れることがある。まるで蛇花火のようで、正体を知らなければ見つけた人は驚くかもしれない。



  この菌の感染しているササの展開葉の表面には、白い模様が現れる。観察したところ、この葉の表面の白い模様は、この菌の菌糸の残渣であった。つまり、まだ展開していない葉鞘に包まれた植物体の表面にこの菌は生育している。


 さらに観察すると、生長点の表面にまで菌が生育していた。考えてみれば、外敵の侵入もなく、生育する場所としては、とてもよいところである。「子のう子座」が形成されると、ササの芽の先端も死んでしまうため、頂芽優生により、ササの側芽が伸び出す。これを繰り返すことにより、「てんぐ巣」といわれる症状となるのではないかと私は考えている。

   この菌の生育しているところは分かったのであるが、植物の組織の中をいくら探しても菌体は見つからなかった。この菌は、場合によっては長さ十数センチ、厚さ数ミリの「子のう子座」を形成する。これほどの大きさの菌体を作るだけの栄養をどこから得ているのかは全くわかっていない。 


*枝が叢生して鳥の巣のようになった植物病害の総称

この菌について書いた論文を下記に示します。

  1. Eiji Tanaka, Chihiro Tanaka, Abdul Gafur and Mitsuya Tsuda. Heteroepichloë, gen. nov. (Clavicipitaceae; Ascomycotina) on bamboo plants in East Asia. (2002) Mycoscience 43(2): 87-93.
  2. Eiji Tanaka. Mechanisms of bamboo witches’ broom symptom development caused by endophytic/epiphytic fungi (2010) Plant Signaling & Behavior 5:415-418

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