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2019/08/14

何故安倍首相は「亡父の墓前に改憲を誓う」のか

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

去る8月12日(月、祝)、安倍晋三首相は山口県田布施町の大恩寺を訪問し、祖父の岸信介元首相の三十三回忌と叔父である岸信和氏の三回忌法要に参列するとともに[1]、8月13日(火)には山口県長門市で父である安倍晋太郎元外相の墓参をしました[2]。


安倍首相は、安倍晋太郎元外相の墓参後に記者団に対して「国会で憲法の議論をいよいよ本格的に進めていくべきときを迎えていることを報告した」と述べました[2]。


改憲は安倍首相の悲願とされており、「父の墓前で改憲を誓う」という構図はいかにも「悲願の実現に向けた固い決意の表明」と捉えられることでしょう。


もとより、墓参りを行い、亡き人を慰めることは重要です。


しかし、安倍首相は2013年8月12日に首相就任の後に初めて安倍元外相の墓参を行って[3]以来、安保関連法制の成立やオリンピックなど折々の話題を報告しているとされていることから[4],[5]、安倍首相にとって「亡父の墓前での報告」が形式的な行事であることが分かります。


しかも、安倍元外相の墓前に改憲を誓う程度で憲法の改正が実現するなら、誰も苦労することはありません。


その意味で、安倍首相の「改憲議論を進める」という発言は、すでに本欄が指摘するように、憲法改正への意欲を示し続けることで支持者の歓心を集める一方で、改憲反対派の抵抗を惹起させることで改憲の実現を遠ざけ、結果的に自らの求心力を永続的に維持しようとする安倍首相の高等的な戦略[6]に基づくと言えるでしょう。


墓参の際に最も話題となっている事柄を報告してきたという前例に基づいて「改憲議論の前進」を報告したという点に、あたかも憲法改正への意欲が衰えていないかのように振る舞う、安倍首相の巧妙な政権維持の手法の一端が垣間見られるのです。


[1]首相官邸. 日本経済新聞, 2019年8月14日朝刊4面.
[2]首相「改憲議論 進める」. 日本経済新聞, 2019年8月14日朝刊4面.
[3]首相「憲法改正は私の歴史的使命」. 読売新聞, 2013年8月13日朝刊4面.
[4]墓前に安保法成立報告. 読売新聞, 2013年9月23日朝刊4面.
[5]東京五輪成功 墓前に誓う. 読売新聞, 2016年8月14日朝刊4面.
[6]鈴村裕輔, 「憲法改正」を公言する安倍首相は改憲の機会を意図して遠ざける. 2019年1月9日, https://researchmap.jp/jor5jhoz4-18602/.


<Executive Summary>
What Is a Meaning of Prime Minister Shinzo Abe's Visit Father's Grave? (Yusuke Suzumura)


It is reported that Prime Minister Shinzo Abe visited a grave of Former Foreign Minister Shintaro Abe, father of Prime Minister Abe, and sweared to amend the Constitution of Japan on 13th August 2019. It is a remarkable opportunity for Prime Minister Abe to show his will to realise constitutional amendment. However he does not want to realise the plan, since when the constitution is amended he will lost the only and most impoartant policy for him.


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