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2019/08/18

れいわ新選組の「敗戦の日を迎えて」談話が持つ意味は何か

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

周知の通り、毎年の終戦の日に際し、政党各党が談話を発表しています。


今年も8月15日(木)の新聞各紙に各党の談話が掲載されました。


これらの中で最も注目すべきは、今年7月の第25回参議院議員通常選挙で2議席を獲得して政党要件を満たしたれいわ新選組の談話でしょう。


すなわち、れいわ新選組は山本太郎代表の名義で以下のような談話を発表しました[1]。


敗戦から74度目の夏。
すべての戦争被害者のみなさまに哀悼の意を表すとともに、
ご遺族のみなさまにお見舞い申し上げます。
間違った判断の連続で、自国のみならず、
アジア諸国にも甚大なる被害を与えた過去。
この反省を未来永劫続けることが、
私たちそして政治の責任と考えます。
厚生労働省の発表による戦没者の概数は約240万人、
各都道府県発表の空襲死者の合計は、56万2708人と言われています。
未だ果たされていない空襲被害者への賠償、
原爆被害者の全面救済を求めるとともに、
皆さまと力を合わせ、真の世界平和実現の先頭に日本がたつ政治を実現して参ります。
れいわ新選組 代表 山本太郎


1945(昭和20)年8月14日に大日本帝国政府がいわゆるポツダム宣言を受諾したことが「敗戦」か「終戦」かは議論の分かれるところですし、大日本帝国政府が連合国と休戦協定を締結したのが1945年9月2日であることを考えれば、「8月15日」を「敗戦の日」と即断することはためらわれるところです。


その一方で、注意を払われてしかるべきは、「未だ果たされていない空襲被害者への賠償、原爆被害者の全面救済を求める」という点です。


受忍論の立場からすれば、戦争の犠牲は国民が等しく受忍しなければならず[2]、国民が被った戦争被害に国が何らかの措置を取る必要はないとされます[3]。


また、これまで行われてきた空襲被害者への国家賠償請求裁判は受忍論に立っていますから、れいわ新選組は判例を超えた政府の主体的な対応を求めていると言えます。


もとよりれいわ新選組は参議院に2議席を有するのみの小政党であり、「未だ果たされていない空襲被害者への賠償、原爆被害者の全面救済を求める」としても、例えば「戦争被害者救済法」などを直ちに成立させるだけの力量がないことは明らかです。


あるいは、いかにして「未だ果たされていない空襲被害者への賠償、原爆被害者の全面救済を求める」かが明示されていない点は、一面でれいわ新選組の民衆主義を示し、他面において同党の他党とは異なる論点を提起して注目を集めようという戦術の現れであると考えられます。


しかし、東京大空襲・戦災資料センターの展示や「原爆被災者の語り」に対する「具体的批判を探求する努力なしに、ただ悲惨を語り継ぐことにどれだけ意味があるのだろうか」という指摘[4]が示すように、現状を事実として受け入れることを超えて、受忍論の持つ問題性を提起し、解決に向けた努力を行うことを宣言するのであれば、れいわ新選組の談話にも一定の意義があると言えるでしょう。


いずれにせよ、このような主張がどの程度まで実現されるのか、今後の推移が注目されます。


[1]2019.8.15 山本太郎 代表談話「敗戦の日を迎えて」. れいわ新選組, 2019年8月15日, https://v.reiwa-shinsengumi.com/comment/3425/?fbclid=IwAR2t4DpknALM8OHw-rMSebqLmXRxlhgdVRvnfVLo-ZhcPFyfh5SrJK8mfto (2019年8月18日閲覧).
[2]被爆者援護法令研究会編, 原爆被害者関係法令通知集. 6訂, ぎょうせい, 2000年, 738頁.
[3]竹峰誠一郎, 「被爆者」 という言葉がもつ政治性. 立命館平和研究, 9: 21-30, 2008.
[4]川田順造, 日本を問い直す. 青土社, 2010年, 230頁.


<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Reiwa Shinsengumi's Statement for the Memorial Day for the End of the Pacific War? (Yusuke Suzumura)


The Reiwa Shinsengumi released a statement for the Memorial Day for the End of the Pacific War on 15th August 2019. It is very remarkable for us, since they emphasised to realise reliefing the victims of air raids and atomic bombings which is not covered by governmental support.


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