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2019/08/21

「立民と国民の統一会派結成」に際して両党がなすべきことは何か

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

昨日、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が国会内で会談し、衆参両院で「会派をともにする」とする合意文書を取り交わしました[1]。


合意文書の内容は以下の通りです[2]。


本日、立憲民主党代表及び国民民主党代表は、真摯に話し合い、以下の点で一致し、すみやかに党内等の了解を得ることで合意した。

○国民民主党は、8月5日の立憲民主党による申し入れを受け入れ、衆議院において立憲民主党と会派をともにする。
○衆議院での会派名は、「社会保障を立て直す国民会議」の意向を踏まえつつ、「立憲民主党・国民フォーラム」を中心に検討する。

○立憲民主党は、国民民主党の意向を踏まえ、8月5日の申し入れに準じた内容で、参議院でも国民民主党と会派をともにする。
○参議院での会派名は、「希望の会」の了承を得る努力をした上で、「立憲民主党・国民・希望の会」を中心に検討する。

○今後の政府提出法案への対応、会派の意思決定手続き、運営方法等は、各党派の代表者からなる会派運営協議会を速やかに設置し、検討を始める。
○国会の行政監視機能強化のための国会共闘に全力を注ぎ、会派を構成するそれぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあうことを確認する。
○それぞれがすでに提出している、8月5日の申し入れに記載された以外の議員立法の扱いについては、別途協議する。

令和元年8月20日

立憲民主党代表 枝野 幸男
国民民主党代表 玉木雄一郎


両党が「会派をともにする」ことになれば、衆議院で109議席[3]、参議院で60議席[4]となり、2012年12月に第二次安倍晋三内閣が発足していて以来、野党の第一会派として最大の規模に達することになります[1]。


すでに本欄が指摘する通り、衆議院で議席の3分の2を超える勢力を持ち、参議院でも過半数を維持する「強すぎる与党」に対抗するためには、中規模から小規模の政党が並立する状況を改め、「弱すぎる野党」という状態を克服することが不可欠です[5]。


従って、民主党、さらに民進党に由来し、衆参両院における野党第一党である立憲民主党と野党第二党である国民民主党が統一会派を結成することは、「弱すぎる野党」が現状を改める契機となる可能性を秘めています。


しかしながら、民進党の離党者を中心に結成された希望の党が民進党からの合流を希望する人たちに対して、主に安全保障政策で集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の容認を指標として受け入れの可否を決定したことで世論の支持を失うとともに、受け入れを拒まれた民進党の革新派を中心とする勢力が立憲民主党を結成して2017年10月の第48回衆議院議員総選挙で野党第一党に躍進したことは、われわれの記憶に新しいところです[5]。


また、改憲の議論に消極的な立憲民主党に対し、国民民主党は玉木代表は改憲の議論に前向きな姿勢を示すなど[6]、政策の面で両党の志向が完全に一致していないことは明らかです。


あるいは、立憲民主党が主張する「法施行後5年以内の原発ゼロ」という政策についても、国民民主党を支持する電力総連が難色を示しています[1]。


このような両党の相違は、「それぞれの立場に配慮しあうことを確認する」という合意文書の記述からも推察されるところです。


それでも、安全保障関連法について「野党は安保法廃止で一致している」と主張していますし[6]、「原発ゼロ政策」については、国民民主党も「30年代」と期間こそ立憲民主党に比べて長めではあるものの[7]、「原発ゼロ」そのもには賛成しています。


こうした点を考慮すれば、両党はそれぞれの主張という小異を超えて勢力の拡大と与党への対抗という大同に付くことは決して不可能ではないでしょう。


むしろ、問題となるのは両党が統一会派を結成した後に政権の獲得を目指すのか、一定の勢力を確保し、政策の決定の際に与党から譲歩を引き出して自らの成果とすることで満足するのか、今後の方針を明らかに出来るか否かという点です。


もし今後の方針を明示し、示された方針の実現のために具体的な取り組みを行わなければ、両党が会派を統一しても国民の支持は得られないことは明らかですし、国民の支持が得られないことに嫌気して会派が分裂することさえあり得ます。


それ故、今後の両党は、何を目標として設定し、いかなる方策によって国会に臨むかを「真摯に話し合い」[1]、党や支援団体などの了解を取り付けなければなりません。


立憲民主党も国民民主党も、なすべきことをなさず、実現すべきことを実現できない政党に、将来はないと心得なければならないのです。


[1]立民・国民 党内集約へ調整. 日本経済新聞, 2019年8月21日朝刊4面.
[2]立憲・国民、衆参両院で会派をともにすることを合意. 立憲民主党, 2019年8月20日, https://cdp-japan.jp/news/20190820_2027 (2019年8月21日閲覧).
[3]会派名及び会派別所属議員数. 衆議院, 2019年7月26日, http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm (2019年8月21日閲覧).
[4]会派別所属議員数一覧. 参議院, 2019年8月20日, https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/199/giinsu.htm (2019年8月21日閲覧).
[5]鈴村裕輔, 「民進党と希望の党の統一会派結成」は主要野党の大同団結の第一歩となるか. 2018年1月16日, https://researchmap.jp/jo1k72q3u-18602/.
[6]7党党首討論会 首相「改憲、野党と合意形成」. 日本経済新聞, 2019年7月4日朝刊3面.
[7]立民・国民と政策協定. 日本経済新聞, 2018年5月22日朝刊4面.


<Executive Summary>
What Will They Have to Do?: A Meaning of Forming a Joint Parliamentary Association between the Two "Democratic Parties" (Yusuke Suzumura)


Leaders of the Constitutional Democratic Party of Japan (CDPJ) and the Democratic Party For the People (DPFP) agreed to form a joint parliamentary association on 20th August 2019. It might be very important and hard way for both parties, since they have a same root but they often do not want to unite in the common interests.


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