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2019/09/14

RADIOISOTOPES誌:これはまともな論文審査か 27

Tweet ThisSend to Facebook | by 辻村憲雄

> この内容を公表されることがただただ嫌だったという可能性すらある。


担当編集委員が所属していた研究所の報告書から,核実験フォールアウト観測についてのこの御仁の「史観」がよく分かる箇所を抜粋

要するに,自分(ら)が「正史」と思い込んできたものと,投稿論文の内容が違うというのが,掲載否の理由(の一つ)だろう。


以下,抜粋。

黎明期:

「最初の人工放射性雨の報告は、三宅(1954)によると1954514日である。北太平洋のビキニ環礁での核実験に対応して人工放射能を含む降水が日本各地で報告された。最大値は、0.5×10−6Ci/L、すなわち18,500 Bq L1と記されている。」
「観測に用いられた主力測定器は、今では放射線管理にしか使われないようなGM計数器であった(全β測定)。」

1960年代前期の米ソなどの大型核実験期:

1963年の5月に人工放射能降下量は、最大値を記録した。」

1960年代中後期以降の中・仏の核実験の時期:

きちんとしたローバックβカウンタやγ線分光が可能なNaIシンチレーション検出器などが、・・・」

1970年代以降の中・仏の核実験の時期:

「ところで、1980年代になると、直接ビキニ事件の影響を受けなかった世代の研究者が主体となった。Hirose et al.1987)は、・・・」

抜粋終わり。


黎明期の観測からいきなりグローバルフォールアウトの話に飛ぶのが凄い(笑)。途中を端折りすぎ。書く必要がないと思っているのか,書きたくないのか,あるいはそもそもよく知らないのか。

GMとローバックなんて大した違いはないのにね。黎明期以降の測定はちゃんとしているアピールをしたいが故なのだと思うが,初期の(諸先輩方の)観測を軽視しすぎていると思う。


9/18追記:

> 担当編集委員が所属していた研究所の報告書から

 地球科学研究部長として,この報告書の巻頭言を書いてるんだから,内容を知らないはずはない。(それどころか引用箇所を本人が書いている可能性すら)

> 最大値は、0.5×10−6Ci/L、すなわち18,500 Bq L1と記されている。

 私が同じ数値を引用すると,「著者の計算間違いだ。著者が間違ってないなら元論文が間違いだ」と主張するのだよ,この御仁は。同じ数値が報告書に記されているにもかかわらず。



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