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2019/10/18

RADIOISOTOPES誌:これはまともな論文審査か 32

Tweet ThisSend to Facebook | by 辻村憲雄
次回からまとめるつもりだったが,次から次へとダブスタ事実が。

気象庁による海水の全ベータ放射能観測について,測候時報(2008)
という論文がある。
編集担当委員は著者ではないが,謝辞に「本稿をまとめるにあたり,・・・〇〇部長・・・から有益な助言をいただいた」と編集担当委員の名前があるのだから,内容を知らんわけはない。

内容はというと,
1955年から2006年まで,周辺海域のあちこちでサンプリングした海水について,手順を統一して全ベータ放射能を測定した結果をとりまとめたもの。測定した数値の大小は普通に比べている。

ところで,当方の論文は,
「1954年当時の観測値のまとめ方を,モニタリング手法が確立した方法に合わせたのみで(中略)中国の第5回核実験と比較していますが,実験場の場所や実験の規模も大きく異なる核実験と比較することに疑問が残ります。さらに,モニタリング観測点も異なり,科学的な意味で比較になりません。」
なる理由でリジェクトされた(注)。

これって,気象庁による海水の全ベータ放射能観測論文に対して
「1955~2006年まで測定手順を合わせたのみ。その間に,実験場の場所や実験の規模も大きく異なる核実験が多数行われている中で,観測結果を比較することに疑問が残ります。さらに,海水サンプリング地点も異なり,科学的な意味で比較になりません。」
なる審査コメントがついたのと何が違うと言うのか?

自らあるいは身内の出している論文と,他者の論文への審査コメントのこの違いはいったい何なんだ?

それから,この論文の最後に,
GM計数管は,理論上入射したβ線を100%計数できるはずであるが,実際には234Thが放出する低エネルギーのβ線(最大0.199[MeV])をすべて計数することはできない」
との記述がある。
編集担当委員による衝撃のコメント「GMの効率は100%でなければならない」云々の出処は,もしかしてこれか????
100%って・・・窓を通り抜けたらばの話に決まっているだろ。

注:何度も繰り返すが。
「実験場の場所や実験の規模も大きく異なる核実験と比較することに疑問が残ります。さらに,モニタリング観測点も異なり,科学的な意味で比較になりません。」
などというリジェクト理由は,編集委員会からのコメント(3回)にも外部査読者の審査コメントにも一切出てこない。一言の文言の重複すらない。編集委員長(勝村庸介)からのリジェクト通知文で初めて出てきた。こんなルール違反が許せるか!

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