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2019/10/20

「学問の自由」について(キーワード:「教授の自由」, 大学の講義のidentity, 専門科目, 英語科目, 日本国憲法第23条)

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現在、日本国憲法第23条の「学問の自由」、特に、通常その解釈のうちの1つとされる「大学における教授の自由」について調べております。一般に下記のように説明されているようです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E5%95%8F%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1



大学の講義では「学問の自由」、「教授の自由」(教授方法・内容等の自由)が憲法(とそれに伴う解釈)で保障されているのですから、それに対して、講義の学問的内容について、学生も自由に意見・主張を述べ、そして、教員と学生が学術的主張・仮説について合致する必要は必ずしもないと私は思います。教員と学生が、学問の前では平等・対等であるという前提で、学術的内容について議論を深めていくのが大事だと思います。すなわち、大学の講義とは、中等教育のような定説に基づく基礎的知識の伝授だけでなく(もちろん、その要素もありますが)、まだ答えの定まっていない学術的に最先端の内容を学部生に分かりやすく噛み砕いて伝え、そして、それを教員と学生が議論するのが理想的だと私は考えておりますし、私は専門の科目ではそのように心がけています。(履修者数が100人を超えても、それは可能です。)

大学ではまだ答えのない問題について、教員は自らの専門領域をもとに学生に提示し、それを学生と共に議論する、というのが大事だと思います。(そして、それが本来の大学の講義のidentityのはずです。)これは専門科目だけでなく、英語科目についても同様だと思います。例えば、文脈解釈について、言語学(語用論、等)の観点から、あるいは、文学の観点から、英語教員はそれぞれの専門領域をもとに、かつ、それを生かし、英語の授業を行うことが大事だと思います。まったく、専門から切り離された(すなわち、各教員の専門領域の専門性がまったく発揮されない)、そして、ほぼ実用性のみに重点を置いた英語の授業は、<教員が自らの専門性をもとに、かつ、それを生かして、学生と学術的内容を議論する>という(オックスフォードやケンブリッジ等のヨーロッパの伝統的大学の)大学教育の理想の根本からずれてしまい、それではもはや大学ではなく語学学校になってしまうと思います。「大学の英語の授業」を考えるとき、大学とは何か、という根本問題を英語科目でも常に忘れないようにしたいと私は考えております。語学学校では、専門の研究領域の業績が必須ではなく、母語話者であることやTESOL等の「教える」資格を持っていることが重視されていると拝察致しています。しかし、大学が大学としての矜持を維持している限りにおいては、専門の研究領域の業績が、英語の母語話者、非母語話者問わず、求められているはずです。そうであれば、大学と語学学校では、おのずとその講義内容も、そして、その方向性・理念も異なるはずです。(なお、ここでの学術研究「業績」とは、私見では、original thesisの提案を明確に伴う学術論文や研究書等を指し、英会話やビジネス英語等の実用英語の本・英語教科書・「緩い」解説書、等は含まれません。また、言うまでもなく、数十年前の業績だけの提示では十分ではなく、現在までの持続的な研究業績が必要であると思います。)なお、関連のことは、拙著『意味論と語用論に基づく最上級英文法理論』でも書きました。同書のAmazonのページはこちらです。

「答えのない問題」に関して付言しますと、英語の教授法や英語の学習法も「こうやれば絶対」とか「これが最善」という唯一のものはありません。その観点からも、個々の教員が各自の専門領域を生かし、それぞれの持ち味を生かすのが良いと私は考えます。ここでも憲法23条の「学問の自由」、そして、それに付帯する「教授の自由」が生きてくると思います。

専門科目でも英語科目でもいずれでも、時折、プロの言語学者以上の洞察あるコメント・質問を学生さんが行うことがあり、私自身にとっても大いに勉強になります。学ぶべきは単に権威ある学者、著名人だけでなく、学生さんからも大いに学ぶ姿勢を大事にしたいと思います。


自由な選択科目を選択してきた学生さんの学ぶ姿勢・関心・意欲は特に高いと思います。自由選択性のメリットを強く感じるときがあります。

(なお、以上は言うまでもなく私個人の私見です


関連記事として下記もご覧いただけますと幸いです。


◆生成文法と言語哲学の研究書の進捗 / 「大学とは根本的に何か」という問い
https://researchmap.jp/jojuh9dkq-1847698/#_1847698


◆大学英語教育についての私見(キーワード:リベラル・アーツ/教養課程、教科書、多様性、英語教員の専門性、「グローバル化」と教育、「応用言語学」とTESOL)
https://researchmap.jp/joqt1qdo8-1847698/#_1847698


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