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2019/12/11

キャリア不安は「一石二鳥」で軽くなる

Tweet ThisSend to Facebook | by AkieN

本コラムは、絵文字:星 いい感じに働くTips Advent Calendar 2019 絵文字:星  の11日目です。

 

日本の将来は「悪くなる」

 
 いよいよ2020年。語呂がよいせいか、2020年はなんだか特別な年のように感じます。しかし……、2021年以降はどうでしょう。人口減少や超高齢化が加速し、オリンピック・パラリンピックも終わり、日本社会は衰退一直線、そんな悲観的な言説が飛び交っています。

実際、世界9カ国の若者への意識調査でも(図1)、日本は、国の将来が「良くなる」はわずか9.6%なのに、「悪くなる」は37.9と、気持ちが滅入る結果でした。「良くなる」が96.2%もある中国とは比較になりませんし、ワースト2位のドイツと比べても、日本の「良くなる」の少なさは際立っています。


こんな悲観的な未来予想を乗り越え、キャリアをつくっていくために、ある研究結果をご紹介します。 



出所:日本財団(2019)「第2018歳意識調査」

 

 

ライフキャリアの8タイプ

 

 研究結果のご紹介の前に、1つ質問があります。

 

<質問>

あなたの心にしめる、①仕事、②家族、③学び、④地域・社会、⑤芸術・趣味・スポーツ、⑥個人 の割合はどうなっていますか?

 

 ちなみに、①~⑥は「ライフロール」という概念です。ライフロールとは、人が社会において果たす「役割」のことです。合計が100%になるように、それぞれのマインドシェアを下の表にいれてみてください。


 ライフロールの割合で、個人のライフキャリアを分類することができます(
図2)。
ライフキャリアの分類は、「仕事□%」はマインドシェアにしめる仕事の割合、「他偏り」「他バランス」は、仕事以外のライフロールの割合が、何か1つに偏っている場合は「他偏り」、2つ以上に分散している場合は「他バランス」としています。


 仕事と家族だけ、仕事と学校の往復というような人は「仕事□%、他偏り」で、仕事以外に、家族も、趣味も、というように、仕事以外に複数のロールの割合が高い場合は、「仕事□%、他バランス」です。


 いわゆる仕事人間のように、マインドシェアの大半を仕事がしめる「仕事70%以上」の人もいれば、隙間時間にちょっと働いているだけの主婦のような「仕事10%未満」の人もいます。

 さて、あなたのライフキャリアは、どのタイプだったでしょうか?  

  
出所:リクルートワークス研究所(2018)「人生100年時代のライフキャリア」
働いている20-60代の男女を対象とした調査
個人のマインドにしめるライフロールのシェアによって分類

 

 

「3番目のロール」から展望が生まれる

 

 さて、ここからが本題です。

 3つ以上のロールをバランスよくもっている人ほど、将来のキャリア展望が明るいことが、研究からわかったのです。

 具体的には、「あなたが、突然、今の仕事、会社を辞めなくてはならなかったとしたら」に対して「何とかなるだろう」という感覚は、「仕事□%、他バランス」というタイプは、他のタイプよりもスコアが高いことがわかりました。 

タイプ別に「何とかなるだろう」をグラフ化した図3をみてみてください。「仕事□%、他バランス」というタイプは、全般的にスコアが高いです。仕事の割合が同じ「仕事□%、他偏り」と比べると、その差は一目瞭然です。仕事以外に2つ以上のロールのある人ほど、将来展望が明るいといえます。

一方、仕事をほとんどしていない「仕事10%未満」や、いわゆる仕事人間の「仕事70%以上」は、「何とかなるだろう」というスコアはかなり低いです。何かに依存的なキャリアは環境変化に順応しにくいといえるでしょう。


ロールがどれかに集中しておらず、3つ以上に分散しているほうが、突然の環境変化を乗り越える自信が高いといえます。キャリアの将来不安から解放されたかったら、「三足のわらじをはく」「サードプレイスをみつける」のが有効です。

  

 

出所:リクルートワークス研究所(2018)「人生100年時代のライフキャリア」
マルチサイクル展望とは「あなたが、突然、今の仕事、会社を辞めなくてはならなかったとしたら」
に対して「何とかなるだろう」というスコア

 

 

現実は、1番目と2番目のロールで手一杯

 

 ただし、ここで1つ考えなければならないことがあります。図2をみると、「仕事50-70%、他バランス」は7%、「仕事30-50%、他バランス」は12%、「仕事バランス10-30%、他バランス」を加えても、バランス派は約4割しかいません。つまり、働く人の約半数はロールが1つか2つに偏っているのです。

 かくいう筆者も、3年前まで、2人の未就学児を抱え、フルタイムで働きながら、大学院の博士課程にも通っていたので、「仕事□%、他バランス」でしたが、大学院を修了してからは、それまでの反動もあり、仕事と家族が中心の生活です。

 仕事、家族、学びの3つのロールを併行していた時は、それはそれは大変で、過労から仕事と学業に対してドクターストップがかかったこともあります。
現在は、仕事と家族がマインドシェアのほとんどを占めており、学びも地域・社会も、芸術・趣味・スポーツも十分にできていません。


3つ以上のロールをバランスさせている人が半数に満たないことは、自身の経験からもよく理解できます。誰もが、いつでも、「キャリアの将来不安を払拭するために、3つのロールをもちましょう!」といえるほど現実は簡単ではないとも感じています。

 

 

「一石二鳥」のロールのススメ

 

 では、どうするのか? 不安払拭には3番目のロールをみつけるのが理想。現実には3番目のロールは困難。こんな理想の現実のはざまで、筆者がオススメするのは、「2番目以上3番目未満」のロールをみつけることです。

 具体的には、「仕事をしながら学ぶ(ロール①③)」、「家族のために地域・社会で活動する(ロール②④)」、「芸術・趣味・スポーツの仲間から仕事のヒントをもらう(ロール⑤①)」といった具合です。

 胸をはって「やってます!」といえるほどではないにしても、コミュニティの仲間に頼りにされていたり、他の活動では得られない充実を感じている時間があります。例えば、地域・社会の活動(ロール④)から仕事の学びを得る(ロール①)ことを越境学習といいます。一石二鳥のこんな関わり、すでに実践してる方も多いはずです。


 わたしたちは、仕事でもプライベートでもさまざまな関わりをもっています。そのコミュニティにひたすらに受け身で参加するのではなく、小さなことでいいのでまずは何か行動してみる。それが、新たなロールを発見し、2番目以上3番目未満のロールを獲得する秘訣です。


中村天江

クリスマスまで続きます 絵文字:星 いい感じに働くTips Advent Calendar 2019
執筆者の皆さんのご紹介はこちらから  絵文字:星Advent Calendar 2019の執筆者

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