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2019/12/03

【追悼文】井上真樹夫さんを巡るいくつかの思い出

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

去る11月29日(金)、俳優で声優の井上真樹夫さんが逝去しました。享年80歳でした。


1960年代から声優としても活躍してきた井上さんの最大の当たり役が1977年に始まったテレビアニメ『ルパン三世』の第2期の石川五ェ門であることは論を俟たないところです。


第1期で大塚周夫さんの演じた石川五ェ門が敵か味方か分からない謎めいた存在として登場し、好色家の一面も見せたのに対し、井上さんの石川五ェ門は求道的な斬鉄剣の名手でありながら精神的な弱さも持つなど、前作とは異なる人物像を形作っていました。


特に、強敵にまみえるときの石川五ェ門は市川雷蔵の演ずる眠狂四郎のような虚無的な雰囲気を漂わせているのが印象的でした。あるいは、第2期の五ェ門にとって最大の危機となった「五右エ門危機一髪」の回では殺し屋のウルフとローズの拷問に耐え抜いて勝利を収める場面は、ジュリアーノ・ジェンマが主演した映画『荒野の1ドル銀貨』(1965年)を彷彿とさせるものでした。


また、テレビアニメ『キャンディ・キャンディ』のアルバートも、謎めいた役どころが甥のアンソニーの快活さと好対照であり、テレビアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』で演じたハーロックの抑制的な演技に通ずるところがあると思ったものでした。


こうした中で、私が最も印象深く思うのはテレビアニメ『銀外英雄伝説』で担当したアンスバッハ准将で、郷里大輔さんの演ずるブラウンシュヴァイク上級大将を射殺した際の「恨めしそうな目で見なさんな、私だって明日はどうなるか分からない身なんだ」という台詞や、自決する場面での「ヴァルハラにてお待ち下さい」という一句など、主要人物が高位の将官によって占められる銀河帝国軍の中で「宮仕え」の悲哀さを巧みに表現する様子は、脇役ながら存在感の大きなものであったと言えるでしょう。


やや線は細いものの主役から敵役まで幅広い役柄を演じ分けた芸域の広さは、テレビアニメの全盛期を担った大声優にふさわしいものでした。


改めて、井上さんのご冥福をお祈りする次第です。


<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Mr. Makio Inoue (Yusuke Suzumura)


Mr. Makio Inoue, an actor, had passed away at the age of 80 on 29th November 2019. On this occasion I epxress miscellaneous impressions of Mr. Inoue.


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