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(2010 年 4 月 30 日「研究ブログ」に設置)

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2019/12/14

常微分方程式のカリキュラム

Tweet ThisSend to Facebook | by Takebe
今年も二年生の常微分方程式の講義を手伝っています。と言っても、教室での授業(講義&演習セミナー)は担当せず、問題演習(学生さんの解答を一対一で面談してチェック)や、宿題のとりまとめ(採点基準の作成、提出されたのを仕分けして TA に渡し、チェックされたものを仕分けして演習セミナー担当の先生に渡す、というあまり数学的でない作業)が仕事です。

今週は、このコースの問題演習の三枚目(最後)のシートの問題の解答期限。各学生に対して問題の解答をチェックする担当教員& TA が決められていて、私が担当になっている学生さん(約10人)ひっきりなしに「いつ問題を解きに行って良いですか?」とメールが来ます。一人当たり大体30分から1時間は付き合うので、結構大変。

そして、内容的にもかなり苦しい。この大学の数学学部は力学系の専門家が多いせいか、解の幾何学的性質などをよく取り上げています。前回と今回の問題シートにはベクトル場の straightening とか、Poincare map の性質(定義されることとか、Lyapnov/漸近安定性とか)など、私が勉強したことのない話が含まれていて、もう問題演習は解答のチェックというよりも学生さんに教えてもらっている気分。orz

日本の普通の常微分方程式のコースとどれくらい違うのか気になって、web 上の情報で比較してみました。日本の全部の大学を調べるのはもちろん無理だから、東大・京大・東北大がサンプル。学部一、二年生(京大は「一回生、二回生」)で常微分方程式を扱っている科目の内容です。

  • ウチ(HSE)の数学学部:こちらにある説明によると内容は
  1. 常微分方程式と系の基礎的性質(高階方程式から一階の系へ、自励系、次元を上げて非自励系から自励系へ書き直す)
  2. 解の存在と一意性の定理(解の延長の最大区間の存在、コンパクト集合の境界までの解の延長に関する定理)
  3. 解のパラメーターや初期条件への連続的依存性
  4. コーシー作用素と flow の群(コーシー作用素、自励系の flow による写像(日本語ではなんと言うのが普通でしょう?)
  5. 解のパラメーターへの滑らかな依存性(パラメーターや初期値への滑らかな依存性、ベクトル場の straightening の定理(日本語?))
  6. 変数分離法(変数分離による解法、いろいろな常微分方程式のクラスを変数分離型に帰着する方法)
  7. 線形常微分方程式と系の一般的性質(線形常微分方程式の解の、右辺の定義域への拡張、解の線形空間、解の基本行列、ロンスキ行列)
  8. 定数係数線形常微分方程式、行列の指数関数(定数係数線形常微分方程式系の解、行列の指数関数、右辺に擬多項式を持つ線形方程式の解)
  9. 特異点付近の微分方程式の局所理論(系の線形化、Hartman–Grobman の定理)
  10. 微分方程式の解の安定性(微分方程式の特異点の安定性の種々の概念、Lyapnov 関数や Chetaev 関数を使った安定性解析、線形部分による安定性解析)
ここには入っていないけれど、全微分方程式(積分因子など)も演習セミナーでやっていた。

  • 東大の「常微分方程式」;こちらによると、
  1. 常微分方程式の基礎(常微分方程式を考える動機、特殊解・一般解等の基礎概念)
  2. 常微分方程式の解法(変数分離型の常微分方程式、1階線型常微分方程式、全微分方程式、べき級数による常微分方程式の解法)
  3. 定数係数線型常微分方程式系(定数係数線型常微分方程式系の具体的な解法、ジョルダン標準形)
  4. 自励系の常微分方程式(ベクトル場の積分曲線の基本的性質、平衡点の近傍における解の安定性)
  5. 解の存在と一意性定理(常微分方程式の解の存在と一意性、逐次近似法、存在と一意性の反例)
  • 京大の「微分積分学続論II−微分方程式」:ソースはここ
  1. 導入(微分方程式とは何か、微分方程式の具体例)
  2. 初等解法(変数分離、一階線形微分方程式、定数変化法、全微分形、積分因子、級数解法)
  3. 線形微分方程式(解の空間、基本解と基本行列、ロンスキー行列、定数変化法、解法、行列の指数関数とその計算、2次元定数係数線形微分方程式の相平面図)
  4. 常微分方程式の基本定理(ノルム空間、完備性、逐次近似法、解の存在と一意性、初期値に対する連続性、解の延長)
  1. 導入(用語の説明、微分方程式の例)
  2. 微分方程式の初等解法 (変数分離形、同次形)
  3. 1階線形微分方程式 (ベルヌーイの微分方程式)
  4. 完全微分方程式 (積分因子)
  5. 線形微分方程式の一般論 (重ね合わせの原理、解集合)
  6. 2階線形微分方程式 (特性方程式による解法、未定係数法、定数変化法)
  7. 連立線形微分方程式 (同次の場合、非同次の場合)
  8. べき級数と収束半径
  9. 変数係数線形微分方程式のべき級数による解法
  10. ピカールの反復法による解の構成

基本的な所は皆同じだけれど、やっぱり、ウチは幾何的な部分が多いみたいですね。でも、東大は安定性やってるなぁ。僕は習ったんだっけ?全然記憶に無い。(常微分方程式は二年生で担当は上野正先生だったはず。)
06:18 | Impressed! | Voted(2) | Comment(0) | 教育