共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2021年3月

単層カーボンナノチューブの原子スケール精密成長機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
  • 丸山 茂夫
  • ,
  • 千足 昇平
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  • 項 栄
  • ,
  • 井ノ上 泰輝

課題番号
20K20348
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
26,000,000円
(直接経費)
20,000,000円
(間接経費)
6,000,000円

単層カーボンナノチューブ(単層CNT)は原子レベルで多様な構造を取り,異なる直径や巻き方(カイラリティ)を持つ.さらに,構造によってその物性が変化することが知られており,その為に原子レベルで構造を制御した合成法が,単層CNT応用において必要不可欠である.本研究課題では,単層CNTの成長メカニズム解明に向け,同位体炭素(13C)を合成中に添加,ラベルとして用いる手法を採用し,個々の単層CNTの成長の様子を詳細に観察した.単層CNTの炭素源となる分子を高温度条件で供給することで,直径数nmの金属微粒子から単層CNTは析出するように成長(CVD成長)することが知られており,ここでは炭素源としてエタノールを用いた.また,同位体炭素の空間分布の計測には,走査ラマン散乱分光イメージ計測を用いた.
結果,単層CNTはエタノール供給後,数分した後にその成長が開始すること(成長待機時間),成長は10~20分程度の時間に限られること(触媒活性寿命時間)が明らかになった.また,単層CNTの成長速度は成長中ほぼ一定であり合成温度に強く依存すること,さらに合成中に一時的にエタノール供給を止めると成長は停止し,供給再開によって再び成長する単層CNTが存在することを新たに発見した.エタノール停止中における条件を変化させることで成長開始をする場合としない場合があること,さらには水蒸気を含む場合は単層CNTが水分子によってエッチングされ短くなることも分かった.これらは,これまで経験に基づいて行われることが多かった単層CNT合成技術開発研究において,CVD成長メカニズムの詳細な情報を与える非常に重要な知見と言える.