2021年4月 - 2025年3月
誤情報持続効果が生じる認知メカニズムの解明とその抑制方法に関する実証研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
誤情報持続効果(continued influence of effect of misinformation)とは,誤情報の誤りを指摘する訂正情報を知った後も,誤情報を信じ続け,その影響を受け続ける心理現象である。誤情報持続効果は,訂正情報に視覚的注意を払っていても,訂正情報を記憶していても生じる。このことは,手元のICT端末に有益な訂正情報が受信・表示されているにもかかわらず,それがユーザーの意思決定および行動変容につながらない可能性を示唆する。誤情報が社会にもたらす影響を制御するためには,誤情報持続効果が生じるより高次の認知プロセスを解明し,それらを考慮した介入手法を確立することが求められる。本研究は,ユーザーの認知と情報デザインとのインタラクションの観点から,これまでに蓄積されてきた心理学的知見を活かしつつ,ICT環境での誤情報の認知メカニズムの解明および誤情報持続効果緩和のための介入手法の検討に取り組むことを目的としたものである。
初年度である2021年度は,これまでに心理学領域で蓄積されてきた誤情報持続効果に関する研究のレビューを行った。最新の実証研究も含めて過去数十年の研究を調査することにより,誤情報持続効果が生じる心理プロセスに関する説明モデル,関連がみられた説明変数を整理するとともに,残されている課題を検討した。また,誤情報問題という社会的影響力の大きい課題に対し,現時点で実行可能な対策についても整理した。これらの研究の成果は展望論文として投稿し,学術誌に採択された。
初年度である2021年度は,これまでに心理学領域で蓄積されてきた誤情報持続効果に関する研究のレビューを行った。最新の実証研究も含めて過去数十年の研究を調査することにより,誤情報持続効果が生じる心理プロセスに関する説明モデル,関連がみられた説明変数を整理するとともに,残されている課題を検討した。また,誤情報問題という社会的影響力の大きい課題に対し,現時点で実行可能な対策についても整理した。これらの研究の成果は展望論文として投稿し,学術誌に採択された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 21K12605
- 体系的課題番号 : JP21K12605
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
3-
Proceedings of the Annual Meeting of the Cognitive Science Society, 45 2023年7月 査読有り
-
Proceedings of the 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’23) 664 1-17 2023年4月 査読有り
-
認知科学 29(3) 509-527 2022年9月 査読有り
書籍等出版物
1-
Springer 2021年5月7日 (ISBN: 9811603596)
講演・口頭発表等
7-
デジタルサービス・プラットフォーム技術 特別研究専門委員会 第15回DPF研究会 2024年1月31日 招待有り
-
総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」 2023年12月15日
-
コンピュータセキュリティシンポジウム2023 2023年10月30日 情報処理学会 コンピュータセキュリティ研究会 招待有り
-
日本心理学会第87回大会 2023年9月15日
-
The 44th Annual Meeting of the Cognitive Science Society (CogSci2023) 2023年7月28日
-
The 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI2023) 2023年4月
-
第50回愛知県私学教育研修会 2022年11月16日 招待有り
メディア報道
4-
JST サイエンスポータル 2023年6月12日 インターネットメディア
-
中日新聞 2023年6月1日 新聞・雑誌
-
産経ニュース 2023年5月19日 インターネットメディア
-
NHK総合 2023年5月16日 テレビ・ラジオ番組
社会貢献活動
1