2020年9月 - 2022年3月
衛星重力データと固体地球応答モデルを用いた南極域バルジの形成・崩壊の検出
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 研究活動スタート支援
南極氷床は、近年の地球温暖化により、融解が加速している。その氷床変動は、重力観測衛星(GRACE)によって重力場変動として観測されている。しかし、重力場変動は、氷床質量変化による成分に加えて、最終氷期以降の氷床融解(約2万年前から7千年前)に伴う固体地球の粘弾性応答(GIA)による成分を含んでいる。このGIAを評価するためには、南極域における地球内部粘弾性構造と最終氷期以降の氷床融解史が必要となる。
南極は東西で地震波速度構造の不均質が確認されている。東南極下では、地震波が比較的高速度であることが確認されており、西南極と比較して厚いリソスフェアが示唆されている。一方、西南極下では、地震波が比較的低速度 であることが確認されており、上部マントルに低粘性の領域が存在すると考えられている。
当該年度は、南極域における地球内部粘弾性構造を考慮して、GIAの数値シミュレーションを用いて重力場の時空間変動を評価した。地球内部粘弾性構造について広範囲なパラメータ領域で計算を展開した結果、リソスフェアの厚さと上部マントルの粘性率の間にトレードオフが存在することが明らかとなった。また、南極域におけるGIAに伴う重力場変動では、空間スケールが数千キロメートルの長波長成分が卓越することが明らかとなった。これらの結果から、地震学的に推定されている南極域における地球内部粘弾性構造の東西不均質は、重力場変動に基づく南極氷床質量変化の評価にあまり影響しないことが示唆された。
南極は東西で地震波速度構造の不均質が確認されている。東南極下では、地震波が比較的高速度であることが確認されており、西南極と比較して厚いリソスフェアが示唆されている。一方、西南極下では、地震波が比較的低速度 であることが確認されており、上部マントルに低粘性の領域が存在すると考えられている。
当該年度は、南極域における地球内部粘弾性構造を考慮して、GIAの数値シミュレーションを用いて重力場の時空間変動を評価した。地球内部粘弾性構造について広範囲なパラメータ領域で計算を展開した結果、リソスフェアの厚さと上部マントルの粘性率の間にトレードオフが存在することが明らかとなった。また、南極域におけるGIAに伴う重力場変動では、空間スケールが数千キロメートルの長波長成分が卓越することが明らかとなった。これらの結果から、地震学的に推定されている南極域における地球内部粘弾性構造の東西不均質は、重力場変動に基づく南極氷床質量変化の評価にあまり影響しないことが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K22372
- 体系的課題番号 : JP20K22372