共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

聴知覚特性に基づき高齢難聴者に対応した音声コミュニケーション支援基盤の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H03468
体系的課題番号
JP21H03468
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

【1】聴覚末梢系特性の的確な推定と聴覚末梢モデルGCFBの高精度化: 聴覚フィルタ推定における「レベル依存の蝸牛雑音フロア」に関し、静音時の雑音分布を特定することに成功し、国際会議に投稿した。GCFBに関して難聴者の特性をよく反映させてかつ高速処理ができるような実装の内容について、以下のWHISの処理とともにまとめて発表した。
【2】模擬難聴システムWHISへの時間応答特性劣化の導入と高度化: 模擬難聴システムWHISを新しいGCFBに基づいて新実装することができた。WHISの評価も蝸牛入出力関数やスペクトル距離に基づいて行い、従来手法よりも良いことを実証した。時間応答特性劣化の導入もできることを示して実装した。この結果を研究会で報告し、ソフトウェアを公開した。さらにこのWHISをC言語化して高速化することを進めた。
【3】高齢難聴者の音声/環境音知覚特性の明確化: WHISを用いて健聴者で音声明瞭度実験を行い、聴覚中枢系以降の難聴要因を除いて、末梢系の要因の影響を調べた。70歳・80歳の難聴を模擬した音、原音声、-20dB音圧低減音の4条件の音声了解度実験である。20歳代だけの防音室実験と、幅広い世代が参加したクラウドソーシング遠隔実験を行なった。遠隔参加者の聴取条件や環境を明確にするために導入したトーンピップテストが、良いデータスクリーニング手法となることを見つけた。今後、遠隔実験を展開するにあたり重要な発見である。
【4】明瞭音声特徴量の抽出と高齢難聴者対応の音声了解度客観評価指標の開発: 【3】で示した実験データを非常によく予測できる新しい客観評価指標GESI (Gammachirp Envelope Similarity Index)を開発し、国際会議に投稿するとともに特許化への処理を進めた。これにより個別の難聴者対応ができる可能性が大きくひらけた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H03468
ID情報
  • 課題番号 : 21H03468
  • 体系的課題番号 : JP21H03468

この研究課題の成果一覧

論文

  9

MISC

  16

講演・口頭発表等

  36