共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

データ同化と多項式カオスを用いた湖沼・河川・沿岸域の物質循環解析の高度化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K06576
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

本課題は湖沼,河川,沿岸域の3種類の水域を対象としている.湖沼における解析では,水温分布や水質動態の再現精度が高いと考えられる非構造格子3次元流動モデルの導入を図った.合わせて,湖沼の例として,霞ヶ浦における底層貧酸素化とその要因の把握するため,文献調査および現地観測データの解析を行った.湖奥部では夏季に低温の河川出水が湖内底部に供給されている構造を明らかにした.
河川においては分布型流出モデルによる洪水流出解析において4次元変分法によるパラメータ推定法の開発を行った.前年度は兵庫県の揖保川を対象に実施していたが,本年度はより集水面積の大きい兵庫県の加古川を追加で検討開始し,出水時の再現性低下要因を探り,離散化の見直しやモデルの修正を行った.揖保川の出水の再現性を向上させるためのモデルパラメータ推定として,グリッドごとの修正より,小流域に区切って修正した方が,同化対象のデータがある水位観測点に近いところでの過剰な修正が避けられることなど,諸々の知見を得た.さらに,多項式カオス展開によるパラメータ修正法の開発も行い,感度解析の結果,感度の大きいパラメータに対し修正を行い,再現性の向上を得た.修正すべきパラメータは各水位観測地点によって異なることを明らかにした.
沿岸域での流動水質モデルの改良においては,多種の藻類や新生堆積物の考慮を行うとともに,多項式カオス展開による水質モデル内モデルパラメータの修正を行った.パラメータ推定値を用いることで,春季の表層におけるブルームの再現性が向上するとともに,夏季の表層において過大に計算されていたクロロフィル濃度を減少させることができた.また,水中における有機物の分解速度が,季節的な貧酸素水塊の消長に沿うように増減することで,貧酸素化の強度と貧酸素水塊の規模がより観測値に近付き,中底層における溶存酸素濃度の再現性が向上した.

ID情報
  • 課題番号 : 17K06576

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