
一色 智裕
基本情報
- J-GLOBAL ID
- 202001001912926543
- researchmap会員ID
- R000000511
私は東京理科大の理学研究科物理学専攻鈴木増雄研究室という統計力学を背景とする研究を行う理論研究室の出身です。理論と言っても、紙と鉛筆だけの世界ではなく、必要に応じ、コンピュータシミュレーションも行います。その鈴木研究室にてニューラルネットワークのモデルの一つであるHopfieldモデル(自己連想記憶モデル)と出会いました。Hopfieldモデルは、物理学者のHopfieldさんが脳の記憶の検索過程を磁性体エネルギー緩和過程に対比させたことから始まりました。なお、連想記憶モデル自体にはHopfieldさん以前にKohonenさん、中野馨先生、甘利俊一先生といった先生方の研究成果が存在します。
さて、私自身の研究は、M1の5月に当時、理研の脳機能研のセンター長であった甘利俊一先生から郵送で甘利ー馬被ダイナミクスの論文のコピーを頂いた時から始まりました。研究テーマは、学習、記憶と想起です。これは、現在も私のライフワークとなっています。ちなみに、M2の3月に「閾値変化によるMcCulloch-Pitts modelの動的性質」という題で日本物理学会全国大会(九州大学)においてOHPを用いて学会発表したのが研究対外デビューです。カオスにも関係した研究であり、現在でも面白い研究ではあるのですが、とにかく緊張したことを鮮明に覚えています。その夜食べた地鶏のたたきが安堵感も手伝って美味しかったのは、今は昔です。更に少し研究者人生が進んだD1以降は、Hopfieldモデルだけではなく、理科大内他研究室の学生とパーセプトロンの学習に関する研究にも関係しました。
また、詳細は割愛しますが、私の学習に関する研究は、複雑系ネットワークと言われる対象まで研究対象が拡がって現在に至ります。その後、理科大から離れてからは、学習に関する研究も進めながら、画像処理、レーダー信号処理、需要予測等の数理的要素を有する案件も経験してきました。
近年は深層学習に関連した案件の研究開発も経験し、2018年の6月より現職となっています。