小学校理科における天体に関する学習では，双眼鏡や望遠鏡による月の表面の様子の観察の実施が求められている。一方，小学校教員養成課程の大学生の天体望遠鏡に使い方の指導に関する自信の度合いは非常に低い。そこで本研究では，小学校教員養成課程の学生を対象とした科目「理科」において，望遠鏡の操作技能の習得を目指す授業プログラムを開発・試行した。このプログラムの特徴は，通常の授業に加え，放課後の月の観測会の実施の他，仙台市天文台の移動天文車「ベガ号」を活用した天体観望会を取り入れたことである。この試行授業前後で質問紙調査を行ったところ，天体の興味・関心，望遠鏡の操作方法の理解及び技能と，実施した一連の天体観測会との間には高い相関があることが明らかとなった。この結果から，将来，小学校教員を目指す学生の天体望遠鏡の観測技能の向上のためには，天体観測の機会の提供が大変に有効であるといえる。