身体疾患と精神疾患を有する患者の分断されたケアを改善するために、本研究では地域におけるかかりつけ医と専門医との協力による統合ケアモデルを開発することを目指した。本研究にはコホート研究（観察研究）と政策研究がある。
１）観察研究
コホート研究「2型糖尿病とうつ（うつ病とうつ状態）の合併患者における治療アドヒアランスの腎機能低下への影響」を実施した(Trial registration: UMIN000017513)。研究目的は、（１）うつが腎機能低下の予測因子であるかどうか、また（２）血糖降下薬へのアドヒアランスがうつと腎機能にいかに影響するかを明らかにすることである。ベースライン調査を終了し、現在フォローアップを終了した。
２）政策研究
岐阜県西濃地域、兵庫県神戸地域および福岡県久留米地域において、統合ケアに関するプラットフォームを開発するためのアクションリサーチを行った。医療・福祉・介護を含む多様なセクターからの多職種の協働を議論するために、各地域での事例検討の実施を支援した。各地域での検討会で対象となる疾患は、西濃地域では認知症、神戸地域では心不全、そして久留米地域では糖尿病であった。