共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年8月 - 2023年3月

自閉スペクトラム症者の反復刺激に対する順応機能から捉える「慣れない」の神経基盤

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
21K20311
体系的課題番号
JP21K20311
配分額
(総額)
2,860,000円
(直接経費)
2,200,000円
(間接経費)
660,000円

本研究の目的は,自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)の「慣れない」現象の神経基盤を解明するための足がかりとなる知見を得ることである。本研究では,ASDの「慣れない」現象を感覚刺激の反復提示に対する「知覚の変動性が大きすぎる」という観点からの解明を目指す。先行研究では,聴覚的に提示された単語の反復提示により聞こえ方が変化する錯聴の一つである反復単語変形効果の知覚内容を検討し,ASD者は同じ単語の反復提示に対し,より大きな変化のある語を知覚することを明らかにした。しかしながら,その神経メカニズムは明らかでない。そこで,fMRIを用いて,反復刺激に対して大きな変化を知覚するASD者の特徴から「慣れない」神経メカニズムを明らかにする。
しかし,「慣れない」現象は,神経反応の違いだけでなく,主観的な「慣れなさ」の反映である可能性もある。つまり,感覚情報処理の困難に対する主観的な評価を「慣れない」と表現しているのかもしれない。ASD者の感覚情報処理に関する先行研究は,外受容感覚を中心に検討されてきたが,近年,ASD者の非典型的な内受容感覚情報処理にも注目されており,内受容感覚情報処理に関する困難に関する質問紙も開発されている。しかし,本邦ではASD者の内受容感覚処理に関する非典型性を明らかにするための自己記入式質問紙が存在していない。
そこで,「慣れない」神経メカニズムを明らかにするためのfMRI実験の前段階として,主観的な「内受容・外受容感覚処理の困難さ」と「慣れない」の関連性を検討する必要があると考え,内受容感覚に関する質問紙の作成を行った。次に,「慣れない」という現象について,交感神経指標を用いて,音刺激に対する生理的な反応を検討した。また,雑音(ホワイトノイズ)が背景に提示された場合でも,反復単語変形効果が見られることを確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K20311
ID情報
  • 課題番号 : 21K20311
  • 体系的課題番号 : JP21K20311