共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

保育における子どもの喪失体験(あいまいな喪失含む)の課題および支援法開発の試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K04297
体系的課題番号
JP17K04297
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

災害・事故も多い今日、また病気・自殺などで親を喪失し、トラウマを抱える子どもも少なくない。離婚の増加に伴い、“あいまいな喪失”(Boss 1999)を体験する子ども(以下、喪失体験児)も増えている。しかし保育現場において、親との離別に伴う悲嘆やトラウマを抱える子どもの支援が重要にも関わらず、殆ど議論されてこなかった。
本研究は、(1)保育所保育士(以下保育士)への聞き取り調査及び質問紙調査によって喪失体験児の実態と支援の課題を明らかにし、(2)喪失体験児のトラウマに対するレジリエンスを高める支援法の開発を試みることを目的とした。
平成30年度は、保育士を対象に郵送質問紙調査を実施し、得られた約400名の回答について量的及び質的分析を行った。結果として、喪失体験児の多くは離婚による離別体験をし、死別のケースは少なかった。その後の心身・情緒・行動面の変化が見られた子どもには、スキンシップや感情の表出を促すなどの個別支援を行い、保護者の生活・情緒面の支援も行っていた。職員間及び会議での喪失体験児に関する情報共有もなされていた。しかし、対応の困難も感じており、特に離別体験やそのケアの専門知識が不十分なこと、家庭の状況への対応がわからないことを挙げていた。この要因の一つとして、「あいまいな喪失」といった喪失体験を捉える理論的枠組みが、保育実践に用いられていないことが推測された。そして、支援に必要なこととして挙げられていたのが、保護者への専門家によるカウンセリングや保育士を対象とした専門知識に関する研修であったこと、保育士が喪失体験児の支援を担うことや、支援能力の有無については積極的な回答が少なかったことについてさらに分析を行う必要がある。
以上から、今後は郵送質問紙調査結果の分析を進め、分析結果とホスピタル・プレイ及びグループ表現セラピーの知見を踏まえた支援法開発を引き続き行う予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K04297
ID情報
  • 課題番号 : 17K04297
  • 体系的課題番号 : JP17K04297

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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