MISC

2019年

慢性閉塞性肺疾患患者の身体活動量と予後との関連性

理学療法学Supplement
  • 川越 厚良
  • ,
  • 塩谷 隆信
  • ,
  • 清川 憲孝
  • ,
  • 古川 大
  • ,
  • 岩倉 正浩
  • ,
  • 大倉 和貴
  • ,
  • 柴田 和幸
  • ,
  • 菅原 慶勇
  • ,
  • 高橋 仁美
  • ,
  • 若林 育子

46
0
開始ページ
A
終了ページ
38_1-A-38_1
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
公益社団法人 日本理学療法士協会

<p>【背景・目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の予後に影響する因子は多岐にわたり,身体活動量(PA)は最も強く影響する因子とされる. しかし,COPD患者の予後に関連する因子について,PAを加味した検討は日本国内においては報告が少ないことが現状である.本研究では,後方視的に安定期COPD患者の予後に影響を与える因子について検討した.</p><p> </p><p>【方法】対象は外来呼吸リハビリテーション通院中にPA及び呼吸・身体機能項目が測定され,カルテによる追跡調査が可能であった安定期男性COPD患者25例(年齢73±7歳, FEV<sub>1</sub>: 53.2±27.2%pred)である. 測定時点において,重篤な併存症を有する者,認知機能の低下がある者は対象から除外した. 対象者の平均追跡調査期間は85±17か月間であり,期間中にCOPDにより死亡した8例をnon-Survivor群(NS群),調査終了時点で生存していた17例をSurvivor群(S群)とし,2群間におけるbaselineのPA及び呼吸身体機能項目を比較した.また,予後に対するリスク因子の検討として,2群間で有意差がみられた項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を行い,ROC曲線によりCut off値を算出した.</p><p> </p><p>【結果】S群と比較し,NS群では大腿四頭筋筋力(QF, p=0.010)及び,1日の総歩行時間(gait, p=0.038)が有意に低値を示した. 年齢や呼吸機能,身体組成には有意差は認められなかった. 単変量による回帰分析ではQF(Odds比=0.907, p=0.035), gait(Odd比=0.961, p=0.040)が有意な因子として算出され, ROC曲線により,gaitにおいて有意なCut off値(167分/日)が算出された(AUC=0.75, p=0.034). 多変量による回帰分析では年齢,呼吸機能,身体組成, gait,QFを説明変数とした有意な回帰モデルが得られた(p=0.021).</p><p> </p><p>【考察および結論】COPD患者の予後に関するリスク因子として,QF, gaitが有意な因子として算出され,多変量解析では有意な回帰モデルが得られた.また,COPD患者の生存の有無に関連することが示唆される歩行時間のcut off値は167分/日であった.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究に使用するデータ測定に関しては,秋田大学倫理審査委員会の承認を得ており(受付番号:658, 870),対象者にはデータの2次利用についての十分な説明を行い,書面同意を得て行った.また,カルテによる追跡調査については市立秋田総合病院倫理審査委員会の承認を得て,実施した(受付番号:43).</p>

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007692419
ID情報
  • ISSN : 0289-3770
  • eISSN : 2189-602X
  • 医中誌Web ID : 2020141302
  • CiNii Articles ID : 130007692419
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000403978798

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