2018年3月
運動中に発生した心停止に対する市民救命行為と予後の年次推移(大阪ウツタインプロジェクト 2005〜2012)
日本循環器病予防学会誌
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- 巻
- 53
- 号
- 1
- 開始ページ
- 73
- 終了ページ
- 78
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本循環器病予防学会
本稿では、大阪府で運動中に発生した院外心停止に関する疫学研究の概要を紹介する。大阪府における院外心停止の全数登録データベース(ウツタイン大阪プロジェクト)を用い、運動中に発生した院外心停止に対するバイスタンダーによる一次救命処置の実施状況の経年変化を分析し、予後と関連を検討した。2005年から2012年までの8年間で計31,030件の心原性の院外心停止が発生し、うち222件(0.7%)が運動中の心停止であった。運動中の心停止発生率は2005年(1.8人/100万人)から2012年(4.3人/100万人)にかけてやや増加していた。バイスタンダー目撃のあった運動中の心停止186件(83.8%)のうち、バイスタンダーに心肺蘇生を実施されたのは2005年には50.0%、2012年は86.2%と増加していた。また、バイスタンダーにAEDで除細動されたのは2005年には7.1%、2012年は62.1%と大きく増加した。これに伴い、1ヵ月後の社会復帰割合も2005年は28.6%、2012年は58.6%と改善した。多変量解析の結果、バイスタンダーによる心肺蘇生(adjusted OR=1.38、p=0.001)およびAEDによる除細動(adjusted OR=2.85、p<0.001)は1ヵ月後社会復帰と有意な関連が見られた。以上より、大阪府では、運動中に発生した心停止に対するバイスタンダーによる心肺蘇生やAED使用などの一次救命措置の実施割合の向上が患者予後の改善に関連したことが示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1346-6267
- 医中誌Web ID : S410450009