共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

近世アムド・チベット社会の形成と清朝支配の変容

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K13194
体系的課題番号
JP20K13194
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,250,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
750,000円

本研究は、18世紀後半から19世紀前半を対象とし、漢地・チベット・モンゴル・東トルキスタンの接壌地帯に位置するアムド地方(青海を中心とする地域)の近世チベット社会の形成過程を、清朝の政策と現地社会の動向との相互関係に基づき分析することを目的とする。本年度は、以上の課題に対して、アムド地方の交通路とその維持に関する清朝の政策、及び清朝支配下の青海モンゴル社会の情況の解明に取り組み、以下の成果を挙げた。
まず、アムド地方の西寧と中央チベットを結ぶ清代の交通路を整理し、その最短ルートがゴロク族の掠奪により19世紀中葉には維持できなくなり、ツァイダム盆地経由のルートに一本化されたことを明らかにした。また、清朝の青海モンゴル支配の開始がその変化の契機となっていた可能性を提示し、「清代チベット・青海間交通路の変容」と題する論文を発表した。続いて、清朝の青海モンゴル支配の開始が、従前の青海モンゴルによるチベット人からの徴税廃止を伴い、それが彼らの生計に大きな影響を及ぼしたこと等の内容を含む著書『清朝支配の形成とチベット』を刊行した。また、本研究に関連する共同研究においてチベット牧畜社会に関する文献のデータベース化を進める中で、近代の外国人による調査記録を網羅的に収集し、近世アムド・チベット社会の実態を復元するための準備を進めた。さらに、18世紀中葉の青海モンゴル社会の情況を把握するため、同時期に中央チベットの政権を掌握していたギュルメ=ナムギェル家と青海モンゴルの河南親王家の間での婚姻計画の経緯を分析した。その結果、当時の河南親王家では嗣子が相次いで病死し、その原因が牧地の環境にあると理解されていたことを明らかにした。
以上から、本年度は近代へと繋がるアムド地方の近世チベット社会の形成を理解する上で、清朝の青海モンゴル政策の推移を把握することが重要であることを確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K13194
ID情報
  • 課題番号 : 20K13194
  • 体系的課題番号 : JP20K13194

この研究課題の成果一覧

論文

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MISC

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