共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2007年

マイクロ波を用いた2層系量子ホール状態におけるマクロ・コヒーレンスの研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
05J04948
体系的課題番号
JP05J04948
配分額
(総額)
2,700,000円
(直接経費)
2,700,000円

本研究の目標は、量子ホール状態における巨視的コヒーレンスの存在を示すことである。しかし、量子ホール状態は粒子数に揺らぎを許さない、非圧縮状態であるため、超伝導状態のような巨視的な位相のコヒーレンズを検出するのは困難である。そこで、2次元電子系を2枚近接配置し、トンネリングが存在する2層系の量子ホール状態において、超伝導のSIS接合に見られるジョセフソン効果に類似した現象の検出を目指す。その為には、超低温、強磁場の極限環境下でマイクロ波(30GHz程度)を導入する必要がある。従って、本年度はマイクロ波導入回路を組み込んだ希釈冷凍機の作成に取り組んだ。減衰を抑えて30GHz程度のマイクロ波を導入するには、低抵抗の同軸ケーブルを用いる必要があるが、一方で、超低温を実現するためには熱流入を抑えなければならない。そのバランスをとるのは難しく、当初、マイクロ波は導入できたが、希釈冷凍機の温度が4K以下に下がらなかった。この問題は、熱伝導が悪く、抵抗が0である超伝導の同軸ケーブルを使用することで解決することができ、最低温度30mKにおいて、10MHz〜40GHzのマイクロ波を導入することに成功した。今後、この希釈冷凍機を用いて、継続的に研究を進めていくことで、2層系量子状態において、ジョセフソン効果類似現象の検出が期待できる。また、近年、2層系量子ホール状態の電子スピン状態が注目をあびているが、電子スピン磁気共鳴(ESR)を用いた研究はほとんど行われておらず、今後、この希釈冷凍機を用いてESRを行うことで、2層系量子ホール状態の電子スピン状態の解明も期待できる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05J04948
ID情報
  • 課題番号 : 05J04948
  • 体系的課題番号 : JP05J04948