2020年7月 - 2023年3月
土器・陶磁器の破片の磁化を用いる年代推定,製品復元の研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
土器・陶磁器は生成時(焼成時)に地磁気ベクトルの記録として残留磁化を獲得する.生成後に移動するので,地磁気方向の偏角は不明になるが,伏角は焼成時の水平面がわかれば求めることが可能であり,またテリエ法等の実験により地磁気強度も復元できる.本研究では,土器・陶磁器の底部等の水平面が推定可能な破片を用いる古地磁気研究法の開発を目的として,基礎実験と考古資料の研究を行う.
本年度,考古遺物の研究では,富山市内の2箇所の遺跡(奈良時代)から出土した複数の土器破片の,磁化研究と解析を行った.底部破片では,交流消磁により磁化方向が大きく変わるものがあり,煮炊きに使われた為と考えられた.土器が焼成時に獲得した磁化は,その後の煮炊きの際に,加熱温度までの成分が失われ,新たな磁化が別方向に獲得されて2成分になる.そして,消磁では低温部が先に消えるので方向が変わると考えられる.また土器の蓋(破片)の磁化測定を平らな面を下にして行った所,伏角には下向き・上向きのものがあった.これは,奈良時代の土器の蓋は,窯入れの際につまみを下に積み重ねる場合もあったと示唆されており,その証明にもなる結果であった.
底部破片の磁化研究(テリエ法実験も含む)で得た地磁気の伏角と強度は,窯跡焼土での先行研究で求められていた同時代の地磁気と調和し,土器底部は地磁気の復元に適すると示された.土器の蓋の研究では,伏角は大きく外れており,蓋は窯内で傾けて焼成されたと考えられる.
本年度,考古遺物の研究では,富山市内の2箇所の遺跡(奈良時代)から出土した複数の土器破片の,磁化研究と解析を行った.底部破片では,交流消磁により磁化方向が大きく変わるものがあり,煮炊きに使われた為と考えられた.土器が焼成時に獲得した磁化は,その後の煮炊きの際に,加熱温度までの成分が失われ,新たな磁化が別方向に獲得されて2成分になる.そして,消磁では低温部が先に消えるので方向が変わると考えられる.また土器の蓋(破片)の磁化測定を平らな面を下にして行った所,伏角には下向き・上向きのものがあった.これは,奈良時代の土器の蓋は,窯入れの際につまみを下に積み重ねる場合もあったと示唆されており,その証明にもなる結果であった.
底部破片の磁化研究(テリエ法実験も含む)で得た地磁気の伏角と強度は,窯跡焼土での先行研究で求められていた同時代の地磁気と調和し,土器底部は地磁気の復元に適すると示された.土器の蓋の研究では,伏角は大きく外れており,蓋は窯内で傾けて焼成されたと考えられる.
- ID情報
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- 課題番号 : 20K20716
- 体系的番号 : JP20K20716