共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

好中球NETsを標的とした敗血症の新規治療法確立のための基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K16577
体系的課題番号
JP21K16577
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

敗血症は感染症を基盤とする全身性の炎症疾患であり、その病態には好中球細胞外トラップ(NETs)が関与するが有効な治療法はない。研究代表者はヒスタミン産生細胞可視化マウスを解析する過程で、従来は単一の細胞系列と考えられてきた好中球が、“ヒスタミン高産生好中球”と“通常の好中球”の2つのサブタイプに分類できること、ヒスタミン高産生好中球が敗血症モデルマウスの肺と末梢血へ集積することを発見した(Takai et al, Sci Rep. 2019)。本研究では、ヒスタミン高産生好中球がNETsを介して敗血症病態を増悪させる可能性を明らかにすること、ヒスタミン高産生好中球を特異的に除去する方法を開発することで、敗血症の新規治療法の分子基盤を確立することを目的として研究を行った。
本年度では、研究計画に記載されているヒスタミン高産生好中球特異的な表面抗原を明らかにすることに主に焦点を当て解析を行った。ヒスタミン高産生好中球と低産生好中球の遺伝子発現パターンに違いがあるかどうか調べるために、これらの細胞をフローサイトメーターで採取し、RNAシーケンス解析を実施した。その結果、主成分解析の結果からGFP陽性ヒスタミン高産生好中球とGFP陰性ヒスタミン低産生好中球の集団が離れた座標に存在していた。これらの結果から、ヒスタミン高産生好中球特異的な表面抗原があることが予想された。今回の結果は未刺激時の好中球を用いた結果であった。その一方で、好中球は敗血症などの細菌感染に起因する重篤な炎症状態においても病態に関与する。そこで、敗血症のモデルマウスである盲腸結紮穿刺により多菌性腹膜炎を誘導し、腹腔内に浸潤した好中球の解析も検討する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K16577
ID情報
  • 課題番号 : 21K16577
  • 体系的課題番号 : JP21K16577