共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

肝内胆管癌における遺伝子変異と免疫学的解析による発癌機序解明と治療法確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K10674
体系的課題番号
JP17K10674
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

新たな職業性胆管癌2例の治療および種々の検討が行われた。それら症例の検討の結果、従来より職業性胆管癌の特徴と報告されてきた、癌による胆管狭窄を伴わない限局性肝内胆管拡張像が、進行癌の状況で診断された1例では不明瞭であったが、他の1例では確認しえた。また、2例において、主腫瘍以外の広範囲の胆管に前癌病変や早期癌病変であるbiliary intraepithelial neoplasia(BilIN)やintraductal neoplasm of the bile duct(IPNB)がみられ、さらに慢性胆管傷害像やγ-H2AX陽性胆管上皮がみられることが明らかとなった。これらから、職業性胆管癌ではDNA傷害を伴う慢性胆管傷害が惹起され、前癌病変や早期癌病変を経て浸潤癌に至ると考えられた。現在、これら2例における癌部、前癌病変部および正常胆管DNAの遺伝子解析を行っている。
一方、これまでの職業性胆管癌症例での多発病変の遺伝子解析結果を比較、検討した結果、同じクローンから進展した結節と、遺伝子変異が全く異なる結節、すなわち多中心性発癌と考えられる結節がみられ、臨床経過や病理学的検討から得られた結果を支持するものであった。
胆管癌組織におけるPD-1抗体やPD-L1抗体の発現をみたところ、通常の胆管癌での発現は低かったが、新たな職業性胆管癌でも発現がみられた。また、胆管癌組織あるいはその周囲組織には多くのリンパ球浸潤がみられ、それらのリンパ球ではPD-1あるいはPD-L1の発現がみられた。
以上より、化学発癌の典型例である職業性胆管癌症例では、化学物質によりDNA傷害を伴う慢性胆管傷害が広範囲の胆管に惹起され、前癌病変や早期癌病変を経て浸潤癌に至る多段階発癌を来すとともに、特異的な免疫反応が惹起されていることが特徴であることが、再度確認された。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-17K10674/17K10674seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K10674
ID情報
  • 課題番号 : 17K10674
  • 体系的課題番号 : JP17K10674