MISC

2015年12月

リチウム中毒により心肺停止を来し救命し得た1例

日本救急医学会関東地方会雑誌
  • 柴田 晴子
  • ,
  • 永山 嘉恭
  • ,
  • 水上 拓也
  • ,
  • 高安 弘美
  • ,
  • 山本 学
  • ,
  • 河面 倫有
  • ,
  • 安田 知宏
  • ,
  • 渡邉 兼正
  • ,
  • 佐々木 純
  • ,
  • 林 宗貴

36
2
開始ページ
283
終了ページ
286
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本救急医学会-関東地方会

60代男。30年前に双極性感情障害を発症し、9年前から炭酸リチウム1200mg/日を内服していた。1ヵ月前から流涎、2日前からふらつきがみられ、心肺停止状態で当院に搬送された。12誘導心電図で著明なQT延長と徐脈を認め、II群の洞不全症候群を呈していた。徐脈に対して硫酸アトロピン静注を行ったが反応はなく、QT延長と洞不全症候群に対して経皮ペーシングを開始した。その後、右内頸静脈からペーシングリードを右室心尖部に留置し、意識レベルの改善が得られた。第5病日に来院時の血中リチウム濃度が判明し、2.65mg/dLと中毒域に達していた。リチウム中毒による腎性尿崩症と、多尿・脱水に伴う高ナトリウム血症を認めたため、第5病日から5%ブドウ糖液を用いた補液とトリクロルメチアジドの内服を開始した。その結果、第7病日以降に血中ナトリウム濃度は低下し、血中リチウム濃度も緩徐に低下した。第8病日の心電図でQTcの改善が認められ、第16病日にかかりつけ医へ転院となった。

ID情報
  • ISSN : 0287-301X
  • 医中誌Web ID : 2016136777

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