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2015/06/21

効果量メモ(効果サイズ,エフェクトサイズ,effect size)

Tweet ThisSend to Facebook | by mtsuchi
効果量についての解説は,けっこうあやしい感じだったり中途半端なものも多い
ですので,しっかりした文献にあたることが重要です。以下に示すものは,それなりに
信頼できて分かりやすいものだと思います(一部は現在確認中)。

計算方法等は,この記事の最後の方でリンクを紹介してます。

【まず読んでおくとよいもの】

専修大学の岡田謙介先生の資料ページ中の講演資料,

日本発達心理学会第26回大会(2015年) チュートリアル・セミナー
「心理学における効果量をめぐる最近の動向」(東京大学, 2015/03/22)

これは知りたいと思う情報が凝縮されて説明されており,新しい引用文献も
多く,とにかくおすすめの資料です。


【日本国内での推奨】
ついに日本の学会でも効果量の記述が推奨され始めたので,
リンクとその箇所の引用を示します。

日本心理学会 執筆・投稿の手びき(2015年改訂版) 

1.2 論文の構成 (3)結果 p8-9より

"仮説検定はデータ分析の一側面に限られる。"

"分析結果の記述においては,研究結果の重要性を評価できるよう効果量と
その信頼区間も示す。元来の測定単位・尺度によって表された効果量は理解が
容易であるが,必要に応じて尺度に依存しない標準化された効果量の指標
(Cohen のd や標準化回帰係数等)を示す。"

効果量といわれるとCohenのdや(偏)イータ二乗などを思い浮かべる方が多い
かもしれませんが,ここではまず非標準化回帰係数や平均値差などの非標準化
効果量について述べられています。

【効果量のガイドライン】

効果量の選び方,計算の仕方,解釈の仕方
Durlak (2009) J. Pediatr. Psychol. 34(9):917-928. 無料で読める

1.研究の目的,デザイン,アウトカムに基づいて最も適した形の効果を選ぶ
2.主な変数について必要な基礎データ提供をする
 (a)群デザインでは,平均値,標準偏差,サンプルサイズをすべての群について,
    全てのアウトカムに対し,全ての測定時点で示す
 (b)相関研究では,すべての測定時点で完全な相関行列を示す
 (c)2値アウトカムでは,全ての群についてのサンプルサイズ,セルの度数または
    割合を示す
3.用いた効果量のタイプを明示する
4.統計的な有意性の有無に関わらず全てのアウトカムの効果を示す
5.特定の引用文献または用いた数式を示し,効果がどのように計算されたか正確
    に示す
6.他の先行研究の文脈において効果を解釈する
 (a)研究間でデザイン,アウトカムの型,効果の計算法が同じ時に最もよい比較が
    できる
 (b)先行研究の文脈と,実践的または臨床的な価値に基づき効果の強さを評価する
 (c)先行研究の効果が示されていない場合,本稿または関連文献で示される手続き
    などを用いて計算する努力をする
 (d)Cohen(1988)のベンチマークは,他の関連研究との比較が不可能な場合のみ
    用いる

特にCohenのベンチマーク(効果量の強さの基準)は無批判に使用されがちなので,
先行研究の結果との比較を強調している点は重要です。


【参考になるレビュー】

効果量,信頼区間,統計的検定:生物学者のための実践ガイド
Nakagawa & Cuthill (2007) Biol Rev Camb Philos Soc. ;82(4):591-605. 

効果量を用いる必要性についてバランス良く解説したレビュー。被引用件数も多いです。
特にメタ分析的思考の観点から,信頼区間の必要性を示し,p値の0.05と0.06の
違いの意味について視覚的に解説しているFig. 2は必見です

要点のメモ
効果量の種類について(p595)

(1)Choice of effect statisticsより
標準化効果量:rやd
非標準化効果量:回帰係数,平均値差
他の効果統計量:オッズ比,相対リスク,リスク差

元の測定単位が意味のあるものであれば,標準化効果量より非標準化効果量
の方が好まれる(Wilkinson & the Task Force on Statistical Inference, 1999)


【心理学向け解説】

心理学(に限りませんが)の研究における効果量の重要性は,この論文で
いちばんよく説明されていると思います。↓

新しい統計学:なぜ,そしてどのように
Cumming (2014) Psychol Sci. 25(1):7-29
 無料で読める。推測の用語を使う,帰無仮説検定はやめる,効果量と信頼区間
を使う,メタ分析的思考をとるなど,統計に限らず研究立案から報告までの様々な推奨を
紹介している。25項目のガイドラインと,研究の統合のための新しい統計学の8ステップ
を紹介。Psychological Science誌が今年,投稿ガイドラインにてこの論文を採用,推奨
している


※以下の3つは,現在確認中なので,ちゃんと読んだらコメントつけます。備忘録として掲載


効果量について
Kelley & Preacher (2012)  Psychol Methods ;17(2):137-52
 
エフェクトサイズの推定:使用の現状,計算,解釈
Fritz et al. (2012)  J Exp Psychol Gen. 141(1):2-18.



【参考になるWebサイト】


Paul Ellis: Effect Size FAQs

初心者向けのとても分かりやすいテキスト↓の著者のwebサイト。
webサイトでの解説も,論文を書くときに必要になる実践的な知識が網羅されている。

The Essential Guide to Effect Sizes: Statistical Power, Meta-Analysis, and the Interpretation of Research Results
Paul D. Ellis


【日本語で読める資料】

水本篤, 竹内理(2008) 研究論文における効果量の報告のために―基礎的概念と注意点―.
 関西英語教育学会紀要 英語教育研究 31, 57–66

 →水本篤先生による詳細な情報が書かれた論文です。題名で検索するとpdfで読めます。


以下は手前味噌ですが・・・
【当サイトで公開している資料】

・過去の研究会で発表した自分のスライド


2変量解析(量的変数)の効果量についての入門スライド

特にCohen's dとHedges' gの違いを細かく解説。Rでの出し方も書いてます。


・その他当ブログ中の関連記事

Stataで計算 →公式ヘルプも充実してます
Rで計算

更新履歴
2014/02/11 記事作成
2014/03/02 追記

2014/09/02 心理学の部分追記
2015/04/06 
【まず読んでおくとよいもの】追記
2015/06/21 【日本国内での推奨】追記

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