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2011/01/07

2010年度卒業論文の題目と要旨

Tweet ThisSend to Facebook | by なべ

2010年度の渡辺ゼミ卒論題目と概要を紹介します.「動的なウェブのアクセシビリティ」はこのサイトで卒論PDFを公開しています.「ユーザ中心のウェブデザイン」は2月の福祉情報工学研究会で発表します.「合成音声の聞き取りやすさ」も学会発表の予定です.


写真のわかりやすい説明~視覚障害者が求めるオンラインショップの洋服の説明文~
  • 【問題意識】できる限り多くの人がWeb を利用できる「Web アクセシビリティ」の向上は、現代における重要な社会ニーズである。また、インターネット利用者の利用目的は「企業・政府等のホームページ・ブログの閲覧」、「商品サービスの購入」が主であり、特に女性では「衣料品・アクセサリー類」の購入が多い。一方で、オンラインショップ等の企業が提供する多くのホームページは、Web アクセシビリティに問題があるものが多い。
  • 【目的】本研究では、女性の視覚障害者が求める、洋服のオンラインショップにおける商品画像のわかりやすい説明文とはどのようなものかを検討することが目的である。視覚障害者の女性が、説明文を読んで商品である洋服の情報を理解するには、どのような説明文が適当であるか考える。
  • 【方法】多くの情報が欲しい洋服、少ない情報でわかる洋服はどのようなものか調査し、双方から4 つずつ合計8 種類の洋服を研究対象とした。また、それぞれの洋服に異なる説明文を作成し、説明文として読ませる実験(実験1)、音声で聞かせる実験(実験2)を行い、わかりやすさに与える影響を検討した。
  • 【結果】まず実験1では、客観的で情報量が多い説明文がわかりやすいという結果になった。また「わかりやすさ」と「客観的な説明文か」、「わかりやすさ」と「情報量は十分か」の間にやや強い、または非常に強い正の相関がみられた。なお「わかりやすさ」と、「商品に魅力を感じるか」の間には洋服により相関関係にばらつきがあった。次に実験2の結果、新たに箇条書きで書かれた説明文であること、説明文が聞き取りやすいことも、わかりやすさに影響を与えることが明らかになった。また、「箇条書きであるか」と「説明文の聞き取りやすさ」の間、「説明文の聞き取りやすさ」と「わかりやすさ」の間にやや強い正の相関がみられた。また、「商品に魅力を感じるか」と「好みのデザインか」の間に非常に強い正の相関がみられた。
  • 【考察】オンラインショップにおける洋服のわかりやすい説明文とは、情報量が多く客観的な表現であり、また音声で聞く事を考慮して箇条書きの説明文を作成することが好ましいことが明らかになった。また、「わかりやすさ」と「商品に魅力を感じるか」の間に相関関係がみられた場合があるが、これは「好みのデザインか」という第三の変数の介入による疑似相関であったと考えられる。

動的なウェブのアクセシビリティ―Dojo,jQuery,YUIの調査―
  • 【目的】本論文は、代表的なJavaScriptライブラリであるDojo,jQuery,YUIはアクセシビリティに配慮した設計が行われているのかを調査することを目的とする。今日の情報社会において、インターネットは情報取得の大きな役割を果たしている。そのような中で、動的なウェブの技術をスクリーンリーダーやキーボード操作では利用することができないという現状がある。そこで、近年注目されている代表的なJavaScriptライブラリは、WAI-ARIAへの対応が行われているのかを調査する。
  • 【方法】W3CのWAI-ARIA Authoring Practicesで紹介されているウィジェットを、Dojo,jQuery,YUIを用いて著者が作成した。その後、作成した各ウィジェットを用いてWAI-ARIA Authoring Practicesが要求しているキーボード操作が行えるか、NVDAを使用したスクリーンリーダーでの読み上げができるかを調査しウィジェットごとに結果をまとめた。
  • 【結果】Dojoが最もアクセシビリティに優れているが、Dojoでも完全にはWAI-ARIAへの対応が行えていないことが分かった。jQueryとYUIは、どちらもWAI-ARIAへ対応しているウィジェットは尐なかった。
  • 【考察】調査結果から、(1)WAI-ARIAのキーボード操作の要求の一部に困難な部分があり、最もWAI-ARIAに対応しているDojoでも行えない操作があること、(2)基本的な機能であるフォームは全てのJavaScriptライブラリでアクセシビリティに優れていること、(3)アコーディオン、デートピッカー、スライダー(2サム)、ツリーグリッド、ツリービューは、どのJavaScriptライブラリでもアクセシブルでないので使用すべきでないことが分かった。

初心者用ウェブサイト作成ツールのアクセシビリティ問題―iWeb の調査―
  • 【問題意識】ガイドラインを完璧に理解してウェブサイトを制作することはウェブ制作者にとって負担が大きく、またアクセシブルなウェブサイトを制作することがウェブ制作者の目的に入ることは少ない。そこで、ウェブサイト作成ツール、つまりウェブオーサリングツールの役割が重要となる。初心者に知識がなくても、オーサリングツールがアクセシビリティ向上を自動的にサポートする機能を持ち合わせていれば、多種多様なユーザが快適にウェブを利用できるようになるだろう。アクセシビリティに関する知識やHTML、CSS の文法を知らないことが多い初心者には、特にオーサリングツールの役割が重要であると考えられるため、初心者用オーサリングツールのアクセシビリティ問題を明らかにすることが必要となる。
  • 【目的】本研究では、初心者用オーサリングツールとして、Apple 社のiWeb ’09 に焦点を当て、iWeb によって作成されるウェブサイトのアクセシビリティを調査することを目的とした。
  • 【方法】まず、iWeb のテンプレートを調査した。次に、実際に自分でiWeb でウェブサイトを作成し、スクリーンリーダーNVDA や評価ツールを用いて問題がないか調査した。最後に、一般のユーザがiWeb で作成したサイトを対象にアクセシビリティを調査した。
  • 【結果】iWeb が生成するHTML ソースは、見出し要素がない、alt 属性が空である、ウェブページの見た目の順序とHTML ソース内の要素の順序が異なるということなどがわかった。そのため、NVDA の音声読み上げでは、ページの構造や内容が把握しづらい、画像が読み上げられないといった問題があった。一般のユーザが作成したサイトでも、HTML ソースが飛び飛びになっており、どこを読み上げているかさえ理解しづらいものとなっていた。さらに、標準の方法では原因が特定できないエラーや現象が表れた。
  • 【考察】iWeb の現状の機能では、アクセシブルなウェブサイトを作成することはできないということが明らかになった。

SNSのアクセシビリティ―mixi の調査―
  • 〔目的〕本論は、「SNS のアクセシビリティ」をテーマにしている。SNS はインターネット上で、友人•知人間を超えてネットワークを構築することができる、コミュニケーションの場である。しかし近年、mixi などのSNS はコンテンツの内容が日々複雑になり、使いこなすのが困難なコンテンツも存在している。本来SNS は、誰もが使いやすくあるべきという概念が当てはまる。よってこの論文では、今や我々の生活に広く普及しているSNS について、社会的ネットワークをより多くの人が平等に構築できるように、アクセシビリティ問題に着目した。アクセシビリティ評価ツールによって各SNSの問題点を明らかにし、改善策を提案することで、SNS のアクセシビリティ向上に貢献したい。
  • 〔方法〕本研究では、上記の目的のために、まず2000 万人を超える人が利用しているmixi と介護者・障害者のためのSNS「へるぱ!」のアクセシビリティ問題をWAVEToolbar を用いて、エラー数とその内容を比較した。その結果を踏まえて、aDesignerを用いてmixi の各コンテンツ(日記を書く、コミュニティを作成するなど)に焦点をあて、アクセシビリティを調査した。問題のあるエラーについては問題箇所を明らかにし、改善策を提案した。最後にmixi 全体の総合評価を行い、結果をまとめた。
  • 〔結果〕mixi と「へるぱ!」のWAVE Toolbar を使用した調査では、主にラベル要素と代替テキストのエラーが報告された。両SNS でエラー数を比較したところ、「へるぱ!」のほうがmixi よりもエラー数が少なく、アクセシブルと思えたが、それはコンテンツの内容充実度の違いによる差であった。aDesigner の調査では、mixi の各コンテンツに焦点を当て調査を行った結果、各コンテンツで共通した要修正点(スキップリンクや代替テキスト、IFRAME、同一テキストの繰り返しなど)や共通したユーザー確認(イベントハンドラ、ラベル要素、空のUL 要素OPTGROUP など)が報告された。WAVE Toolbar とaDesigner の両評価ツールで報告されるエラーは共通したものが多かった。また、明らかになったエラーも改善策を提案したので、改善策を実行することで誰もが使いやすいSNS が実現すると考える。
  • 〔考察〕mixi や「へるぱ!」で明らかになったアクセシビリティ問題は、上記の通り各コンテンツごとに共通したものが多く、調査結果で述べた改善策を実行すれば、誰もが使いやすいSNS が実現するであろう。

合成音声の聞き取りやすさ‐文章の聞き取りにおける単語親密度の影響‐
  • 【目的】合成音声とは、人間の音声・言葉を人工的に合成することである。合成音声は視覚障害者にスクリーンリーダーとして利用されている。スクリーンリーダーで聴取するのは主に文章であるため、本研究では、文章の聞き取りについての検証を行う。また、今回着目したのは、単語親密度である。単語親密度とは、なじみの程度を数値であらわしたものである。文章の了解度及び心的負荷に、単語親密度が効果を示すのか、また、親密度の教示(低親密度単語が含まれるか含まれないか)の効果の検証も合わせて行う。
  • 【方法】本研究では、2回実験を行った。1回目の実験では、文章の了解度の検証を行い、2回目の実験では、心的負荷を検証した。音素バランス文から文章を選出し、低親密度単語を含むテキストと、含まないテキストに分けた。そのテキストから合成音声を作成し、5段階に話速を変え、書き取り実験を行った。また、教示の効果の検証を行うため、低親密度単語を含む文章は2グループ作り、教示の有りと無しで了解度および心的負荷に効果があるのかを見た。
  • 【結果】実験1では、低親密度単語を含む文章と含まない文章では、了解度に違いが見られた。ただし、極端に速い話速や遅い話速では、了解度に違いは見られなかった。次に低親密度単語を含む文章の教示の効果は、文章全体の了解度に差は見られなかった。文章中の低親密度単語のみに着目し、低親密度単語が聞き取れているかの分析を行ったが、有意な教示の効果は見られなかった。一方、低親密度単語を含む2つの課題文グループには、親密度による条件が等しいにも関わらず、了解度、および低親密度単語の聞き取りに差が見られた。実験2では、教示の効果が心的負荷に表れているか検証を行ったが、教示による有意な効果は見られなかった。
  • 【考察】低親密度単語を含むか含まないかで了解度に差が見られた。低親密度単語は1文に1単語(または2単語)しか含まれないにも関わらず、文章全体の了解度に違いが見られた。低親密度単語の聞き取り以外にも、低親密度単語が文章全体の聞き取りに影響を及ぼしていることが考えられる。また、低親密度単語を含む課題グループ2つで課題を作ったが、教示の有無による効果に差は見られなかった。低親密度単語の親密度の平均は揃えたが、低親密度単語を含む課題グループ2つの間で、了解度に差が見られた。この課題グループを作成した際に揃えたのは、文章中の低親密度単語1語の親密度の平均と音素、文章のおおよその長さだった。しかし、更に正確な文章の聞き取りにおける教示の効果を測定するためには、低親密度単語のモーラ数、文章中の低親密度単語の位置などもそろえることが必要だと考えられる。実験2では、心的負荷の評価を行った。教示の有無では有意な差が見られなかった。ただし、片方の課題グループでは教示の有無で心的負荷にやや違いが見られたが、もう一方では心的負荷の違いは見られなかった。この原因として考えられるのは、課題グループの2つは了解度に差があったことが予想される。これより、了解度と心的負荷には密接な関係があることがわかった。

ポータルサイトのユーザビリティとアクセシビリティ
  • 【目的】本論は「ポータルサイトのユーザビリティとアクセシビリティ」をテーマにしている。この論文では、(1)人気のあるポータルサイトはユーザビリティに配慮されているか、(2)人気のあるポータルサイトはアクセシビリティに配慮されているか、(3)ユーザビリティに配慮されているポータルサイトはアクセシビリティにも配慮されているか、を明らかすることが目的である。
  • 【方法】まず、東京女子大学の学生を対象としてポータルサイトの利用調査を質問紙で行い、人気のあったポータルサイト上位5つ(Yahoo!、iGoogle、MSN、@nifty、All About)を調査対象として、ユーザビリティとアクセシビリティを評価した。ユーザビリティチェックは「標準ウェブユーザビリティ辞典」と「ウェブ・ユーザビリティ評価スケール」を用いて筆者が5段階評価(1点から5点)を行った。アクセシビリティは「aDesigner」で評価を行い、エラーとなった箇所を「NVDA」で読み上げて確認した。
  • 【結果】「標準ウェブユーザビリティ辞典」を用いた5段階評価の結果、平均4以上であり、またポータルサイト間で有意な差は見られなかった。一方、「ウェブ・ユーザビリティ評価スケール」を用いた5段階評価の結果、All Aboutだけが有意に評価が低いことがわかった。また、「aDesigner」と「NVDA」を用いたアクセシビリティチェックの結果、全てのサイトにおいてJIS X 8341-3の最低限守らなければならない達成等級Aの達成基準への違反がみられた。
  • 【考察】以上の調査の結果、ポータルサイトの人気とユーザビリティの良さには関係がないこと、ポータルサイトの人気とアクセシビリティの良さにも関係がないことが明らかになった。また、ユーザビリティに配慮されているほどアクセシビリティにも配慮されているわけではないことが明らかになった。

肉声と合成音声の比較―DAISY図書を利用した読書―
  • 【目的】電子書籍元年と叫ばれる今日ではあるが、日本における視覚障害やディスキレシアへの読書環境は未だ十分とはいえない。しかし、著作権法改定に伴い、国際的に普及しているアクセシブルな電子書籍の規格であるDAISY図書が、日本においても広がりを見せている。2010年4月にDAISY Translatorの無償配布が開始され、専門的な知識がなくともDAISY図書の作成が可能となった。DAISY図書では録音した肉声での読み上げ、もしくは合成音声での読み上げを行うことができるが、テキストと同期させる場合、合成音声版の作成のほうが容易である。しかし、一般には、肉声と比較して合成音声は聞き取りにくいとされている。本研究では、読書という限定された状況において、肉声と合成音声の比較を行い、さらに、合成音声の聞き取りやすさを高める手だてを探る。
  • 【方法】音声の聞き取りやすさを了解度と心的負荷の2つの側面から検証することを目的に、48人の被験者を対象に実験を行った。課題の読み上げをそれぞれ肉声と合成音声で行い、文章に関する課題の正答率から了解度を測定し、合わせてNASA-TLXを用いて心的負荷を測定した。また、音声の聞き取り最中に「戻る」「進む」といった操作を加えることが聞き取りやすさに影響を与えるかを検証するための実験も実施した。
  • 【結果】操作の有無にかかわらず、肉声による聴取時に比べ合成音声による聴取時に心的負荷が高く、了解度においては合成音声に比べ肉声による聴取時に高いことが明らかになった。特に、人物名の聞き取り課題において、肉声と合成音声の聴取の差が顕著にみられた。
  • 【考察】繰り返し操作を行うことで、了解度において合成音声聴取時の値が肉声聴取時の値に近づくことが検証された。一方、心的負荷においては繰り返し操作の有効性はみられなかった。繰り返し操作は了解度において効果がみられるものの、音声の聞き取りやすさを高めるには、心的負荷を低くするための他の手段も加えてさらなる検討が必要である。また、肉声であってもフレーズで区切られていることにより、聞き取りに違和感を覚える人が多いという結果から、今後の課題が明確となった。

配色のユニバーサルデザイン
  • 【問題意識】ウェブアクセシビリティに関するガイドラインやツールは日々発展しているが、それらの提供する基準が、作り手の好みと違っていては、実際に作られるウェブサイトはアクセシブルにならない。そこで、作り手に好まれる配色と、実際の公共サイトに使われている配色の違いを比べる。
  • 【目的】作り手の好みと、実際の公共サイトを比較し、その上で両方に受け入れられ、かつアクセシブルな配色を考える。
  • 【方法】作り手の好む配色と、都道府県サイトで実際に使われている配色を、アクセシビリティ、色み、トーン、配色の傾向から比較した。まず、作り手の好む配色として、ユーザ投稿型サイトのKulerの人気パレットをアクセシビリティチェックし、各色をPCCS 形式に変換することで、色み、トーン、配色の傾向を考察した。都道府県サイトも各トップページから5 色を選出し、同様に各項目を調査した。最後に、作り手の好む配色と都道府県サイトの配色から分かったことを合わせて、両者に受け入れられる配色について考察した。
  • 【結果】作り手の好む配色については
    • 全体的にアクセシブルなパレットは尐なかった
    • 緑みや黄色みを感じる色が多い
    • 薄い色、浅い色、冴えた色、暗い灰みの色が多い
    • 色同士は近いトーンが多い
    都道府県サイトで使われている色については
    • 濃い色が1、2 色含まれている配色がアクセシブルであった
    • 薄い色、白、明るい灰色が多い
    • 色同士は近いトーンが多い
  • 【考察】今回の研究から、緑みか黄色みを感じる色みで、5 色のうち、濃い色に冴えたトーンと、隣り合う明るいトーンの2 色、薄い色は薄いトーンの1 色、明るい灰色、白の構成が、今回作り手と実際のサイトの両方に受け入れられるアクセシブルな配色と考える。

ユーザ中心のウェブデザイン―高齢ユーザとサイト制作者の意識差—
  • 【目的】高齢者のインターネット利用率が増加傾向にあるが、インターネット上には使いにくいウェブサイトが溢れており、高齢者が日常的に情報活用するには依然として困難な状況にある。先行研究によれば、製品やシステムが使いにくくなる要因は、ユーザとデザイナが描くモデルのギャップにあると指摘されている。そこで本研究は、高齢ユーザとサイト制作者の間に存在するギャップを明らかにし、ユーザ中心のウェブサイト制作プロセスに必要な要件を提言することを目的とする。
  • 【方法】現役サイト制作者に高齢者をターゲットユーザとしたサイト制作を依頼し、そのサイト(3 種類A~C)を用いて高齢ユーザによるユーザテスト(タスク実験、観察、質問紙、インタビューを含む)を行なった。さらにユーザテスト結果をサイト制作者へフィードバックし、高齢ユーザにとって使いにくいデザイン課題とサイト制作現場の問題点に関してグループディスカッションを実施した。
  • 【結果】高齢ユーザの評価が最も高かったサイトは、グローバルナビゲーションが分かりやすくデザインがシンプルな実験サイトB であった。その他の実験サイトにも致命的なエラーはなくタスク達成率も高かったことから、いずれもユーザビリティの高いサイトであったといえる。しかし、より使いやすいサイトを目指すために、高齢ユーザが使いにくかった要因を文字、アイキャッチ、情報レイアウト、地図デザイン、フォームデザインに分類して検討した。その結果、高齢ユーザ特性や利用状況を踏まえて高齢ユーザに配慮すべき事項の詳細、および高齢ユーザとサイト制作者のギャップが明らかになった。
  • 【考察】高齢ユーザとサイト制作者でギャップがあったのは、高齢ユーザの文字サイズ変更機能の利用状況、フォーム枠の見えにくさ、ページ右上に配置された情報の気付きにくさ、病院サイトに求める役割だった。いずれのギャップも、サイト制作者が制作時に高齢ユーザ像を想定できなかったことが原因であった。こうした双方のギャップを減らすには、少なくともユーザのインターネット利用状況やニーズを調査した上で、ユーザ参加の手法を用いてサイトを評価し、サイト制作関係者でユーザ評価を共有しながら課題の改善を繰り返すプロセスが必須である。

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