研究ブログ 子ども食堂 生活保護の相談 福祉施設職員のストレスケア 関屋光泰


2018/07/14

生活保護 ケースワーカーの訪問、面接、相談、調査の実際とは 公的扶助論 担当講義概要

Tweet ThisSend to Facebook | by g0000218044
健康で文化的な最低限度の生活を保障する生活保護制度とケースワーカー
 福祉事務所のケースワーカーは、生活保護受給者の生活を家庭訪問や面接等の支援と、生活保護費の給付によって支える。また、受給者の心身の健康を、生活保護(医療扶助)制度の医療サービスの現物給付によって支えている。
 また、上記に関連する調査や、求職活動などを目指す自立支援も職務である。
 保護の実施機関(福祉事務所)のケースワーカー(現業員、地区担当)の、生活保護受給者等への支援を、公的扶助ケースワークと言う。
 公的扶助ケースワーカーは公務員であり、社会福祉主事である。

生活保護の実施機関の相談援助活動
 生活保護制度と公的扶助ケースワーク
 生活保護制度の運用は、ケースワークと称する相談援助として面接、訪問等を伴う。必要な場合、入院先、入所先の調整、同行、入院先における面会等も実施している。
 生活困窮者への支援、また生活保護受給者への自立支援等において、面接・訪問などの形態による個別支援は必要不可欠である。
 ケースワーカーの職務について、やや詳しく述べたい。
 生活保護費を受給者に手渡す(給付する)ことも重要な職務であるが、それだけではない。相談、訪問、医療機関や社会資源との調整等、相談援助の専門職であることが求められている。
 必要に応じて医療機関の受診、入院に同行すること、社会資源の利用を支援する(入所予定の福祉施設の見学に同行等)、金銭管理の側面的支援等の具体的な支援が、行われている。
 様々な地方自治体の福祉事務所の現状があるが、多くの場合、1人のケースワーカーは100世帯位(超える場合も)の受給者を担当している。
 各地の福祉事務所のケースワーカーの懸命な実践が行われている。敬意を表し、エールを送りたい。

 複合的な生活問題と総合的支援
 生活保護を必要とする人(要保護者)・生活保護受給者(被保護者)は、心身の健康問題・障害、虐待等を含む家族問題、失業など様々な問題を抱えている。
 特に、アルコール依存症等の精神疾患、単身高齢者、母子・父子世帯、社会的孤立等の健康、生活、家族問題が重複する事例が多い。
 
今日の貧困問題、生活困窮とは、経済的な困窮のみならず、複合的な生活困窮である。特に、依存症・精神疾患と、孤立に顕著な人間関係の問題が、経済的困窮・失業と三位一体となり、困窮化は進行する。
 金銭給付だけではなく、個人・家族へのソーシャルワークによる総合的な支援が必要とされる。専門性として価値・専門職倫理と知識、社会福祉援助技術が必要である。

当ブログ筆者の生活保護受給者対象の訪問実践から

 当ブログ筆者は、精神科医療機関の精神保健福祉士として訪問を行ってきた。
 訪問により、生活保護受給者の生活と内面への接近、心身の健康や生活の異変の早期発見、早期対応を図ってきた。
1.単身寝たきり生活保護受給者
 身体の障害、高齢により、失禁の場合もあった(床が一面)。
 ほぼ寝たきりの高齢者も生活保護を受給し、地域で単身生活を送っている。
 日常生活、移動の不自由がある 略
 脱水、食べられないことが分かり、訪問によって危機から脱するケースも 略

2.セルフネグレクトと生活保護受給者 
 生活保護受給者のなかには、通院するよう話をしても、拒まれるケースもある。
 これらをセルフネグレクトと称する。
 服薬、通院、治療が必要であることの理解が困難であることが、一つの原因である。

3.精神障害者の生活保護受給者
 統合失調、食事、入浴が一人ではできない。会話も成り立たない。
「食事はしましたか?」「昨日、巨人勝ったね」 略

4.依存症からの回復支援 生活保護受給者の重要な課題
 アルコール依存症からの回復の支援は、生活保護受給者へのケースワークの重要な課題の一つである。
 アルコールや覚醒剤等の薬物、ギャンブル依存症は、精神疾患であり、その回復には特徴がある。
 依存症の回復には、断酒、断薬という方法しかないと言われる。アルコール依
存症からの回復の 3 本柱として、医療機関への通院の継続、抗酒薬の服用、自助グループ(セルフヘルプグループ)アルコホーリクス・アノニマスや断酒会への参加が有効である。
 これらがアルコール依存症等からの回復の原則である。依存症は、自助グループにおいて働く力、関わり(フェローシップ)の相互支援によって回復が促進される。
 依存症からの回復は、一人のケースワーカーだけでは、また医療・福祉等専門職の力だけでは、有効な支援はできない。個別支援だけ、精神科医療だけでも有効ではないと考えられる。
 依存症からの回復のためには、専門の精神科医療機関への通院の継続と、自助グループへの参加が必要である。
 一方、ハームリダクションという、新たな支援の考え方もある。 略

5.生活保護受給者のギャンブル問題
 略

6.孤立死、自殺を防ぐためのケースワーク

 訪問による安否確認、見守りのネットワーク構築は、孤立死予防でもある
 障害の為に日常生活に支障がある利用者に対して、個別生活支援との連携を実施した。
 略
 続く


生活保護制度におけるアウトリーチ、生活困窮ニーズの掘り起こし
 貧困、生活困窮の実際を考えると、保護の実施機関が来談を「待つ」だけでは、困窮者への有効な支援が実施できない。
 地域における生活困窮ニーズの発見と、ニーズと資源を結びつけるソーシャルワーク的支援が求められている。
 とりわけ出向いていく形の支援、つまりアウトリーチが今日、求められているといえよう。
 しかし、福祉行政、ケースワーカーは、地域のどこに支援を必要としていながらも、申請に来れない人々がいるのかは把握できない。有効な支援を行うためには、医療・福祉等の専門職との連携に加えて、次の事柄が必要となる。

生活保護は行政、ケースワーカーにお任せのままでよいのか? 住民参加型の地域共生社会に向けて
 公的扶助ケースワークとコミュニティソーシャルワークはクロスする。
 社会的に孤立している、心身の慢性疾患等、多問題の生活保護受給者をケースワーカーだけでは支援できない社会は、福祉行政やケースワーカーだけに、健康で文化的な最低限度の生活の保障の働きを押し付け、丸投げしてはならない
 地域社会とつながらなければ、健康等の悪化により孤立死のおそれもある。 
 具体的には小地域における見守り活動、民生委員等の訪問を、生活保護のケースワーカーと連携しながら行っていくことが、生命を護るケースワークとも言えるだろう。
 地域社会にとっては、同じコミュニティで暮らす当事者の生活問題を、住民の皆が我がこと、自分のこととして考えるところからはじまる。社会的孤立を防ぐ地域福祉活動を、住民も福祉行政も皆の協働により築き上げていく。
 専門職は、コミュニティソーシャルワークとして、個別の支援とコミュニティをつなげ、サポートネットワークの構築を促進していくことが求められている。
 地域共生社会として、セーフティネットは、行政も民間、住民も皆で、社会の総力を結集して護っていく。
 まちぐるみの参加型の生存権保障、共助活動でもある。
 生活保護とは社会の皆のための制度であり、また社会の皆が支え手であるとも考えられるだろう。

公的扶助ケースワーク
 公的扶助領域、生活保護制度に伴う、社会福祉援助活動をさす。
 生存権保障のために、生活問題の改善、解決を図る専門的な援助活動である。
 公的扶助ケースワークにおいて、居宅訪問は従来から重視されてきた。
 利点は、対象者の生活環境に近づき観察できる、生活上のリスク(虐待、孤立死のおそれ等)を発見しやすい、家族にも会い、面接することができるなどである。対象者の生活全般の情報を具体的に得ることが可能である。 略

ケースワーク
 個人や家族が抱えている生活問題、生活上のニーズに対して,その問題解決を援助するために,用いられる個別支援の技術である。面接、訪問の形態で行われる。
 相談の前提として、対象者を理解しようとする傾聴の姿勢、審判せず受容し、共感する態度が求められる。ケースワーカーとして、人間尊重、尊厳等の価値は譲ることができない。
 ソーシャルワークとは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク等の、社会福祉領域の専門技術、知識、価値の体系である。

自立助長、自立支援とは
 小山進次郎は「人は全てその中に何らかの自主独立の意味において可能性を包蔵している」と述べた。
 経済的自立、社会的自立や日常生活の自立を支援 略

生活保護の実施過程(原則的には)
受付(インテーク)
(生活保護の)申請の受理
資力調査
要否判定
保護の決定(開始・却下) 原則14日以内
(生活保護費の)支給
(場合によって変更・停止)
廃止

生活保護における相談援助活動の範囲と内容
1 生活困窮により、生活保護の受給に直接・間接に関わってくる相談、
2 生活保護の対象とならない来談者の相談援助活動、
3 生活保護廃止後の相談援助活動 これらを含む。
・相談援助活動においては、個々の被保護者の処遇方針を設定し、被保護者の自立助長を図る。

社会福祉主事
 社会福祉法18条・19条により規定

社会福祉法(資格等)
第十九条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢二十年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学、旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)に基づく高等学校又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
二 都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
三 社会福祉士
四 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
五 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項第二号の養成機関及び講習会の指定に関し必要な事項は、政令で定める。

生活保護法(補助機関)
第二十一条 社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。

(民生委員の協力)
第二十二条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

解説 民生委員・児童委員 
略 民生委員法

福祉事務所の具体的な生活保護事務
①所管区域内に居住する要保護者等に対する保護の決定及び実施に関する事務。
 保護の申請があった場合に行う事務として、
1)要保護世帯について、保護の要否(継続の要否)、程度及び方法の決定に関する事実と証拠の調査、
2)調査に基づいて、保護決定手続きに必要な事務処理、
3)対象ケースに指導助言及び必要な事務処理、がある。

②町村長からの要保護の状況などについて通報を受けること、並びに要保護者に関する調査を行うこと、及び被保護者等に対する保護金品の交付を町村長に求めること。(都道府県福祉事務所)

③要保護者の資産状況等について、官公署に調査を委託し、または銀行、要保護者の雇い主その他の関係人に報告を求めること。

④被保護者から生計状況の変動、居住地の移動等についての届け出を受けること。

生活保護法(指導及び指示)
第二十七条 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

(相談及び助言)
第二十七条の二 保護の実施機関は、第五十五条の六第一項に規定する被保護者就労支援事業を行うほか、要保護者から求めがあつたときは、要保護者の自立を助長するために、要保護者からの相談に応じ、必要な助言をすることができる。

(報告、調査及び検診)
第二十八条 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条(第三項を除く。次項及び次条第一項において同じ。)の規定の施行のため必要があると認めるときは、要保護者の資産及び収入の状況、健康状態その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。
2 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始又は変更の申請書及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者若しくはその他の同居の親族又は保護の開始若しくは変更の申請の当時要保護者若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。
3 第一項の規定によつて立入調査を行う当該職員は、厚生労働省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 保護の実施機関は、要保護者が第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止若しくは廃止をすることができる。

福祉事務所
 社会福祉法に定められた,住民に対して社会福祉全般に関する相談・指導や給付等の業務(現業)を行う第一線の社会福祉行政機関である。
 福祉事務所は、生活保護法だけの現業事務所ではなく、福祉六法全般の支援、相談を実施している。

*「生活保護実施の態度」
 平成13年度 保護の実施要領より(厚生労働省社会・援護局保護課)
 生活保護業務に従事される各位におかれては,保護の実施要領等を骨とし,これに肉をつけ,血を通わせ,あたたかい配慮のもとに生きた生活保護行政を行うよう,特に次の諸点に留意のうえ,実施されることを期待するものである。
1 生活保護法,実施要領等の遵守に留意すること。
 実施要領は,生活保護法令を実際に適用するうえの具体的指針であり,生活保護行政は,生活保護法令に定めるところはもとよりのこと実施要領に従って適正に実施されるべきものであること。

2 常に公平でなければならないこと。
 生活保護は,生活困窮者に対しひとしく最低限度の生活を保障する制度である。要保護者の事情を客観的な立場において把握し,公平な適用がなされなければならないものであること。

3 要保護者の資産,能力等の活用に配慮し,関係法令制度の適用に留意すること。
 生活保護は,要保護者の活用し得るもののすべてを活用した後に,はじめて適用されるべきものである。要保護者の資産能力等の活用に十分配意するとともに,関係法令を理解し,その適用に遺漏のないように留意すること。

4 被保護者の立場を理解し,そのよき相談相手となるようにつとめること。
 生活保護は,被保護者の自立助長を図ることをあわせ目的とするものである。被保護者の個々についてその性格や環境を把握理解し,それに応じた積極的な援助をたゆまず行うようつとめること。

5 実態を把握し,事実に基づいて必要な保護を行うこと。
 生活保護の保障は,要保護者個々の需要に基づいて行われるものである。要保護者の申立てや第三者の意見を聴取するに止まらず,実態を把握し,事実に基づいた保護を行わなければならないこと。

6 被保護者の協力を得られるよう常に配意すること。
 被保護者は,公的扶助を受ける権利を有するとともに,生活の維持向上につとめる等の責務を負う。法令に定める責務について被保護者が進んでこれを果すよう配意すること。

7 常に研さんにつとめ,確信をもって業務にあたること。
 生活保護業務を担当する職員は,実施機関の一員であることを自覚し,それぞれ果すべき職責を明確に把握するとともに,相互に研究し,必要に応じ上級者の指揮を求め,自己の業務に確信をもって事にあたること

今回の講義概要の詳細は下記をクリック 当ブログ筆者の個人のログ
公的扶助論 講義の概要1 生活保護の相談、訪問調査、公的扶助ケースワーク、生活困窮者と子どもの危機介入


 HPより引用「児童自立支援専門員養成所とは。非行などの問題を抱える子どもや、虐待などの理由により支援が必要な子どもたちと施設での生活を共にしながら、資格取得に向けて学ぶところです。
 国立武蔵野学院は、大正8年 (1919年) 3月に開設された児童自立支援施設です」
 児童自立支援専門員とは、児童自立支援施設において,生活指導,家庭環境調整,関係機関との連携等,ソーシャルワークによって、児童の自立を支援する専門職である。国立武蔵野学院に附属児童自立支援専門員養成所が設置されている。

バックナンバー 当ブログ筆者の担当講義


当ブログ筆者が執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

依存症と生活困窮 第8章 地域における精神保健問題
内容
 アルコール依存症からの回復とレジリアンス。
 アルコール依存症、薬物依存症と貧困、生活困窮の実践事例。
 精神科グループワーク、精神科デイケア、地域精神医療による総合的な地域生活支援。
 コミュニティワークとソーシャルサポートネットワークの構築。
 多職種によるチームアプローチ、連携。
 地域の特性。スティグマ。自尊感情の課題。
 人間の根源的な痛みと人間的孤立。

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