2017年3月9日
タヒチ・モーレア島のシダ植物群 集形成: 配偶体と胞子体の比較
日本植物分類学会第16回大会
- ,
- ,
- ,
- 開催年月日
- 2017年3月9日 - 2017年3月12日
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(一般)
- 開催地
- 京都
- 国・地域
- 日本
シダ植物は胞子体と配偶体が独立に生育するという陸上植物のなかでも珍しい特徴を有する。しかし、シダ植物の配偶体は小さく採集が難しいため、その生態についてはほとんど何も知られていないのが現状である。本研究では、フランス領ポリネシアのタヒチ島とモーレア島において標高傾度(200メートルから2000メートル)に沿って1300個体以上のシダ植物の配偶体の種同定を、DNAバーコード(葉緑体rbcLとtrnHpsbA)を用いて行い、胞子体と配偶体の分布と集団構造の比較を試みた。その結果、胞子体の種数は中間標高でもっとも多く、系統的多様性は標高が高くなるに従い低くなる傾向があることが分かった。これに対し、配偶体の種数は標高と関係なく胞子体より低く、標高と配偶体の系統的多様性には有意な関係が見られなかった。これらの結果はシダ植物において、配偶体より胞子体の方が環境に影響されやすいことを示唆する。さらにこの結果は、最近の他の研究によって明らかにされている配偶体が胞子体よりも乾燥耐性が高いことや生態学的ニッチが広いという報告と一致している。本研究は集団構造において植物のライフサイクルが担う役割をより明確にし、シダ植物の生態の解明に重要な貢献をするものと考えられる。
presentation_id: B-2
presentation_id: B-2