約1万2千の種を含むシダ植物は種子植物に次いで二番目に大きな維管束植物のクレードであり、その多様性獲得の全体像については未だ不明な点が多い。活発な系統解析研究が進められてきており、種の数に対する系統解析の研究者数も、例えば被子植物（約36万種）のそれと比べて多いと言える。本発表では、地球規模でのシダ植物の研究に向けて、全シダ植物種のデータを網羅し、常に最新の状態を保つ系統樹作成システムを紹介する。先述のように本分野ではGenBankに頻繁に新しいデータが加えられているため、系統樹を一度作っても、すぐに古いものになってしまうという問題がある。したがって本研究では、GenBankのデータを自動的にダウンロードし、常に最新の系統樹を作成するシステムを構築した。今後はコードとデータを公開し、系統樹を取得可能なウェブサイトも提供する予定である。これにより、最多の種数を含み、常に最新の状態のシダ植物の系統樹を誰でも手に入れることができ、様々な進化・生態学的解析や分類に利用できるようになると期待される。本システムによって、シダ植物の多様性獲得のプロセスを明らかにするという大きな目的に寄与したい。
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