片々

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2018/06/30

最近読んだ本

Tweet ThisSend to Facebook | by handle0142738
 大橋崇行さんの『司書のお仕事 お探しの本は何ですか?』(勉誠出版、2018年4月)を読んだ。普段接している図書館員たちがどのような作業に携わっているかが分かって興味深い。図書館員という仕事の基本事項が過不足なく、親切に解説されている。図書館員志望の学生にとって必読の本だろう。これまでよく図書館員志望の学生と接する機会があった。今後そういう学生にぜひこの本を薦めたい。
 1987年生まれ(!)の荒木優太さんの『仮説的偶然文学論』(月曜社、2018年5月)を読んだ。荒木さんは「独歩は稀にみる偶然文学の追究者だった」(61頁)と主張し、独歩の複数の作品を横断的に見渡しながらそのことを丹念に証明する。「『富岡先生』(略)、『肱の侮辱』(略)といったテクスト群では、釣り場が偶然的遭遇の場所として設定されている」(67頁)など、随所に見られる新鮮な指摘がさまざまな思索を誘う。独歩がいかに「偶然」という問題に魅了されていたかが分かる。この本は独歩の作品群の背後に働いている構成原理を明らかにし、まちがいなく独歩研究を更新している。中河与一のように今では忘れられた書き手の作品が熱心に論じられることも目を引く。明快な文章も魅力に富んでいる。

13:28 | Impressed! | Voted(2) | Comment(0)