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2019/03/06

「省庁間の力関係」を象徴する「私立大学研究ブランディング事業」の打ち切り

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

去る2月26日(火)、文部科学省による平成30年度「私立大学研究ブランディング事業」の支援対象校の選定結果が公表され、社会展開型の「タイプA」と世界展開型の「タイプB」に157校が応募し、合計20校が採択されました[1]


ところで、「私立大学研究ブランディング事業」を巡っては、文部科学省幹部の贈収賄問題が発覚したこともあり、2018年度に選定された大学への支援期間は一律3年となり[2]、2016年度及び2017年度に事業期間を5年として選定された取り組みも2019年度で支援が打ち切られることになりました[3]。


「私立大学研究ブランディング事業」の終了後も名称を変えて類似の事業が行われるという見込みがないため、旧文部省以来、文部科学省が複数年にわたって実施する予定であった私立大学への支援事業が初めて完全に打ち切られる見通しとなっています。


今回の措置は表面的には文科相幹部の不正に発端すると思われるものの、実際には「私立大学研究ブランディング事業の選定校に対する支援については、平成31年度予算案に盛り込むとともに、教育研究そのものの質の向上に対する支援を優先する考えの下、所要の見直しをいたしました」という一文[3]からは、「私立大学研究ブランディング事業」を予算化するのと引き換えに支援制度の打ち切りが行われたことが推察されます。


もとより各省庁が要求する予算案を査定するのは財務省ですから、かねてから「私立大学研究ブランディング事業」そのもに消極的ないし否定的とされていた財務省が、私学助成そのものの増額を条件に制度の廃止を求めたであろうことが示唆されるところです。


確かに、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と定める日本国憲法第89条[4]に違反する可能性があるため、私立学校への助成が無際限になされるべきでないことは明らかです。


しかし、現在政府が検討を進めらている軽減税率の導入やキャッシュレス化の促進などが、消費税の増税で得られる財源を浪費することでしかないにもかかわらず[5]予算化されていることを考えるなら、「私立大学研究ブランディング事業」の打ち切りの問題は省庁間の力関係が予算に反映される、あるいは政権が重点的な政策とすれば予算の配分に自ずから軽重が生じるという官界の特徴を反映しているということが出来でしょう。


[1]平成30年度 私立大学研究ブランディング事業 選定状況. 文部科学省, 2019年2月26日, http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2019/02/26/1413831_01.pdf (2019年3月6日閲覧).
[2]私立大学研究ブランディング事業委員会 委員長所見. 文部科学省, 2019年2月26日, http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2019/02/26/1413831_03_1_1.pdf (2019年3月6日閲覧).
[3]私立大学ブランディング事業の見直し及び説明会の御案内. 文部科学省高等教育局私学部私学助成課長. 2019年2月15日.
[4]日本国憲法. 第八十九条.
[5]鈴村裕輔, 「増税対策」として不適切な「軽減税率適用」や「ポイント還元策」. 2018年12月11日, https://researchmap.jp/jo5m2ocwy-18602/.


<Executive Summary>
The Abolishment of the MEXT Private University Research Branding Project Implies a Power Balance among Ministries (Yusuke Suzumura)


It is annoucned that the MEXT Private University Research Branding Project will be abolished in the fiscal year 2021 on 26th February 2019. It implies that it might be a result of a power balance among ministries, especially between the MEXT and the Ministry of Finance.


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