研究ブログ 子ども食堂 生活保護の相談 福祉施設職員のストレスケア 関屋光泰


2017/07/29

朝日新聞に関屋光泰コメント掲載 福祉施設介護職員のストレスケアと施設のリスク

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 朝日新聞朝刊全国版にブログ筆者のコメントが掲載されました。以下、引用
 「悩む職員の心身、ケア。昨年7月、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者が殺される事件が発生した。略 
 福祉施設職員に関する研究をしているルーテル学院大学の関屋光泰・助教は、東京都内を中心に約60カ所の障害者施設などで職員向けのストレスケア研修を行ってきた。
 「忙しい時に利用者への言葉がきつくなり、そんな自分を責めてしまう」「自分の感情をコントロールできなくならないか不安だ」
 研修の受講者からは、そんな悩みが多く寄せられる。
 関屋助教は「利用者の障害や個性に応じた振る舞いや言葉遣いが常に求められ、精神的に疲弊しやすい。自分が理想とする支援ができず、自己嫌悪に陥る職員も多い。支援の質を保つためには職員の心身の安定が重要。精神的ケアの必要性に改めて目を向けるべきだ」と訴える」引用ここまで
(やまゆり園事件が残したもの:下)地域に開く、支え合い歩む
2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国

 朝日新聞から取材を受け、障害者、高齢者等の福祉施設において支援、ケア、介護を担う職員の心身をサポートする必要性を提言しました。
 また、筆者の開発した「福祉施設職員のストレスケア研修」プログラムは、福祉施設の現場を支えたいという願いから開発し、施設職員の困難やストレスの自覚、自己理解、ストレスの対処、感情労働、セルフケアをサポートするために研修講師を続けていること等をお話しました。
 福祉施設のリスクマネジメントは、職員のストレスマネジメントとも深く関連します。

 上記の詳細 個人ブログ
 福祉施設職員のメンタルヘルス、慢性疲労の実際
 福祉施設職員の「いきなり退職」
 メンタルヘルス休職と復職支援の課題 介護職等福祉施設職員
 福祉施設職員のストレスケア研修内容、プログラム 燃えつきとは など

 
ブログ筆者の関連論文の概要 個人ブログ
1年目職員が感じた介護&ストレス  介護職員「こころの健康管理」
関屋光泰『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号 介護職員「こころの健康管理」その施策と工夫」,産労総合研究所

当ブログ筆者の論文 要約

 職業訓練(求職者支援制度)を経て、高齢者福祉施設や障害者支援施設に就職をした元職業訓練生の介護・支援職員対象のグループインタビュー、ヒアリング等から、彼ら彼女らの福祉施設における、離職等につながり得るストレス要因について考察したものである。
 対象者は、2012年に開講された求職者支援制度による介護職員基礎研修の受講者であり、聴き取りの実施時期は研修終了から1年である。

離職者・職業訓練生 介護職への転職の理由
 元訓練生は介護職という未知の領域へ転職しようとした理由について、「40代の自分(女性)であっても、正規職員になれるから」等、他の業種・職種に比べて介護職など福祉施設職員の正規雇用に採用される年齢の幅の広さを挙げている
 
また、「介護職員として就職できたことで、1人で子供を抱えている自分も自立できた」など、シングルマザー等にとって介護職は開かれた職業であることが分かる。
 加えて、「(職業訓練の)前は引きこもりの生活であったが、介護の仕事によって自らの生活も安定した」、「(離職)前の職場では周囲と人間関係がうまくいかなくて仕事が続かなかった」と語ってくれた人もいた。これらは離職を経た職業訓練の特徴とも言えよう。
 さらには誰かの役に立つ仕事をしたかった」、「人が喜んでくれる仕事がしたかった」等の職業選択の理由は、介護職という、人間をケアする意義ある職業を現しているのではないだろうか。

介護の職場のストレス要因 職員間の人間関係
 特徴的であるのは、「自分の考えていたような介護ができない」という悩みであった。
 また介護実践のストレスはどこから来るのか。大半が職員間の人間関係が大きいと答えている。
 次に多いのが「自分が思っていたような介護ができない」という意見である。利用者の主体性の尊重など、自立支援に対して「学んできた介護倫理の観点とはギャップがある」という。

介護技術研修だけではなく、職員のストレスケアのサポーティブな研修が必要
 福祉施設職員の感情労働 介護職等の情緒的な疲労 略
 技術だけではなく、職員のセルフケアを支える研修と、職員が気軽に専門家に相談できる窓口との連携、職員のサポートネットワークなどの整備が急がれる。

職員の相互支援の職場へ、介護ストレスからの拠り所
 総じて、聴き取り対象の元訓練生の介護職員たちは、再就職のために職業訓練を経て介護職員として「人間を支える仕事」の道を選んだ。
 ヒアリングでも「利用者のためになる仕事だから頑張れる」、「前職に比べ人間的な仕事だ」など、介護職員として日々の実践から自己効用感を得て、介護という仕事の意義を内在化して働いていることが分かる。

 失業を脱するための職業訓練から出発し、再就職した介護職員は、自らの失業・生活困窮や家族問題、メンタルヘルス等の当事者性を持っている。そして、安定した雇用と自己実現、やりがい、繋がりを得られる居場所が、福祉施設の職場であるという側面がある。自己実現、繋がり、自らの居場所等を獲得した人たちが、困難があっても、離職せずに介護職員に定着しているとも言えよう。


付記
福祉施設職員のメンタルヘルス チェック項目 抜粋
 筆者が開発した福祉施設職員のストレスケア研修において、職務の困難・ストレスの自覚、自己理解を促すチェックリストである。
 筆者自身の20年間程のソーシャルワーク実践における困難やストレスの経験や、社会福祉や介護、看護、教育等、関連領域の専門職のストレスケア、燃えつき(バーンアウト)の文献・論文、また研修受講者のコメント等を参考にして、筆者が作成したオリジナルなものである。
ア関連のチェック項目から一部を紹介する。
・ゆとりが無いときに、呼び止める利用者に対し「ちょっと待って」「後でね」等と言ってしまう。
・援助者(介護士、支援員、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー等)の役割の矛盾、仕事の曖昧さがある。
・自らの熱意と、ケア・支援・相談の仕事の達成感との間にギャップがある。
・理想のケアや使命感と、今の仕事の現実との間にギャップがある、本物のケアではない。
・職場のなかで、率直に相談したり、困難を打ち明けることが出来る同僚や先輩が誰もいない。


当ブログ筆者の論文
関屋 光泰「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月

抜粋「福祉施設において、有効な離職予防策を打ち出せないまま職員の人員不足を招くことや、燃えつき等によって充分に能力を発揮出来ない職員を生じることは、現場に更なる負担をかけ、過失や事故等に繋がる可能性に直結する。施設と個々の職員のストレス・マネジメントは、リスク・マネジメントでもあり、施設の運営管理にも大きく関わる課題である。
 良い福祉施設、良いサービスは、職員の心身の健康の維持と、実践と生活の拡充によって実を結ぶ。福祉施設においては、事業の根幹は人にある。だからこそ、着手が可能なところから、現場職員の支援策と、サポーティブな職場づくりを開始する必要がある

福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント
当ブログ筆者の論文 関連業績一覧


<当ブログ筆者の論文>
関屋光泰「福祉施設職員のメンタルヘルスとリワークの支援」
日本福祉教育専門学校 研究紀要 55頁から73頁


<ブログ記事 バックナンバー>
当ブログ記事バックナンバー 福祉施設職員研修


当ブログ筆者執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

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