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2017/05/02

戦前日本におけるアルベール・ロビダ原作アニメ

Tweet ThisSend to Facebook | by huzimoto
 先日、荒俣宏さんに御挨拶する機会があった。荒俣さんといえば京都国際マンガミュージアム館長の任に就かれたばかり、そして京都マンガミュージアムでは、国産アニメーション誕生100周年で「にっぽんアニメーションことはじめ」の展示が始まっているな、と連想がつながり、そういえば、と思い出したのが、戦前日本におけるアルベール・ロビダ原作アニメの話。

 アルベール・ロビダはフランスの挿絵画家・作家で、エレガントな空想画を多数ものした人物として知られ、19世紀に描かれた未来予想図として、しばしば、その作品が示されている。
 
 代表作である挿絵入りの未来小説 Le vingtieme siecle は、明治時代(19世紀)に三種類の翻訳『開巻驚奇|第二十世紀未来誌』『世界進歩|第二十世紀』『社会進化|世界未来記』があり、21世紀に新訳『20世紀』朝日出版社が上梓された。
 未来小説のタイトルになった20世紀が丁度、空白期になっているわけである。では、その20世紀日本におけるロビダの受容は如何?という話で「二〇世紀のロビダ」という一文を2009年に発表した。
 
 拙文は、ロビダには『ファーランドール廻国記』Voyages tres extraordinaires de Saturnin Farandoul という、ジュール・ヴェルヌの<驚異の旅>のパロディでもある冒険活劇作品があり、これがイタリアで映画化されて大人気になり(先年のマルコ・ベロッキオ監督による『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』という映画には、ムッソリーニの前妻の息子が見ている映画として、画面に登場)、それは大正時代日本にも輸入されて見られていた(広告に見られる公開題は『猿か島』もしくは『猿ケ嶋』)、という話題を中心としたものだったのだが、その後、昭和に入って、それを下敷きにした影絵アニメがある、ということに気づいた。
 
 それが、政岡憲三作品『難船ス物語 第壱篇 猿ヶ嶋』(1931・日本アニメーション映画クラシックスのサイトでは1930年作品とされている)である。続編『難船ス物語 第二篇 海賊船(海の冒険)』も製作されているが、これは現存が確認されていないという。

 題名と粗筋から、これはっ、となってから、実際にフィルムセンターで上映された現物を見る迄にどれほど時間がかかったものか。恐らく、2012年の「日活映画の100年 日本映画の100年」で実見の機会を得る事が出来たように記憶している。
 
 流れ着いた孤島で、猿に育てられて卓越した身体能力を持つ青年に成長するという主人公像は、バロウズのターザンの原型だという説も唱えられていたりもする。
 
 当然、政岡作品の現物にはロビダの名前はクレジットされていないので、ロビダ映画扱いすることは難しいところだろうが、現物を見れば明らかに、アンブロジオ映画を下敷きにした作品である。
 「日本アニメーション映画クラシックス」サイトでの公開に尽力された方々に敬意を表しつつ、ロビダ~マルセル・ファブレ監督の存在にも光があたることを願う次第。


※Ambrosio作品の方も、現在は、YouTubeで見る事が出来るようになっているようである。
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