錯視日誌 - はじめに -

 
 錯視日誌では、研究、教育、アート,その他のことについて、いろいろなことを書いています。数理視覚科学の研究から生まれた学術的な新しい錯視図形や錯視アートの新作も発表しています。もともとは文字列傾斜錯視日誌という名前で、文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズム(新井・新井、特許取得、JST)による作品の発表を中心にしていましたが、文字列傾斜錯視以外の話題が多くなってきたので、名称を「錯視日誌」に変えました。

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2018/02/11

数学セミナー2018年3月号が熱い件

Tweet ThisSend to Facebook | by araih
 久々に『数学セミナー』に記事を書き、今日その雑誌を入手することができました。
 私が執筆したのは「特集 フーリエ解析ことはじめ」のしんがりにある『フーリエ解析の多彩な応用/ディジタル技術、人の感覚との関わり』という文章です。
 内容については雑誌を見て頂ければと思いますが、この解説記事のセクションタイトルを挙げますと
 1. はじめに
 2. アナログ信号とディジタル信号
 3. サンプリング定理と網膜細胞
 4. フーリエ級数で分かった視覚のひみつ
 5. ウェーブレット革命、さらに超ウェーブレット
といったものです。

 それはさておき、今回の数学セミナーは面白い記事がめじろおしです。武部(Takebe)さんの楕円積分・楕円関数の連載(こちらのresearchmapは次々回の裏話?)や梅田さんの記事といった数学のシリアスな解説をはじめ、作家円城塔氏の連載、テレビドラマ『天才を育てた女房』(天海祐希、佐々木蔵之介出演、読売・日テレ)の数学監修をされた高瀬先生へのインタビュー記事、そして藤原松三郎『微分積分学』の特集記事などなどです。

 藤原松三郎『微分積分學』は、つい最近改訂新版が出たので、それを記念した企画だと思われます。旧版は私が大学1年のときから座右の書の一つ(といっても図書室にあったわけですが)にしていた非常に思い入れのある本です。大学1年のときに積分について根掘り葉掘り考えて、微積分の担当の先生(故宮寺功先生)に質問したところ、『微分積分學』に書いてあるので見なさい、と言われたのが、この本との最初の出会いでした。
 藤原松三郎は1881年2月14日 に生まれ、1946年10月12日に逝去した東北帝国大学の教授だった方なので、改訂新版はもちろん著者自身によるものではなく、浦川肇先生、高木泉先生、藤原毅夫先生によるものです。この三人の先生方は、たまたま(?)よく存じ上げており、大変お世話になった方々です。浦川先生と高木先生は私が東北大学在職中の大先輩教授でした。藤原毅夫先生とお会いしたのは東大に移ってからのことで、「学術俯瞰講義、数学を創る」で連続講義をしたときに、プランニングからお世話になりました。話はそれますが、そのときの講師陣は、岡本和夫先生、甘利俊一先生、室田一雄先生、坪井俊先生、斎藤毅先生、全体的な構成が藤原先生という超豪華な顔ぶれでした。こういう方々とご一緒させていただいたのですから、私にとっては何ともありがたいことであり、本当に「有り難い」ことだったのです。
 俯瞰講義で何度もお会いしたときは知りませんでしたが、藤原毅夫先生は藤原松三郎のお孫さんということです!
 藤原毅夫先生の『藤原松三郎の欧州遊学と人となり』は、なかなか知ることのできない藤原松三郎の人物像がわかる貴重な資料となっています。仙台空襲のとき、藤原松三郎が赤ん坊だった毅夫先生を抱いて避難するくだりはドラマを感じます。

 ということで、改訂新版の方も、ますます思いの深い本となりそうです。『微分積分學』はずっと参考にしてきた本なので、また稿を改めていろいろ書きたいと思っています。

 ところで、『天才を育てた女房』の公式ホームページを見ると、岡潔役の佐々木蔵之介氏が次のようにコメントしてます。
 『文化勲章を受章された際、「数学とはなんですか?」との質問に、岡さんは、「生命を燃焼させるものだ」と答えられています。』
 最近、数学は役に立つ道具、と言った言葉を良く耳にしますが、何かしっくりとせず、「そうかもしれないが、それは数学の本質ではない」という思いが湧いておりました。しかし、岡潔の言葉は、もうこれ以上の答えはないというものです。しかも、岡潔が言ったということが極めて重く、重要です。
 「数学とは何か」と聞かれて「数学とは生命を燃焼させるものだ」と答えられるようになってみたいものです。
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