研究ブログ

研究ブログ >> 記事詳細

2016/08/28

成瀬治先生の訃報

Tweet ThisSend to Facebook | by Prof.Dr. SUMIOKA
 成瀬治先生(88歳)が8月26日(金)17時過ぎに天に召されたとのこと。高校のころから、いろいろ親しく御指導いただいていただけに、いろいろ思うところがある。まあ、とても敬虔なルター派の信仰者でいらっしゃったので、死は悲しむべきことではないとはいえ、自分自身もまた学者の末席に座らせていただけるようになって、はるか先を行った学者としての一生は、学問以上のことを教えてくれているように思う。

 もともと成城学園の御縁があり、家も近かったので、かなり頻繁におじゃまさせていただいていた。折々、奥様手作りのフリカッセ、先生秘蔵のワインなどをいただき、楽しく歓談させていただいた楽しい時間が、とめどなく思い出される。先生は、信仰と生活、研究と楽しみを一つにしていらっしゃった。その姿勢は、とても印象深く、大きく感化された。まことに研究者らしい一生だったと思う。

 ただ、時代に恵まれていたかどうか。もちろん、その研究水準は高く、北大、東大、ドイツ自由大学などでも教鞭を取り、晩年は成城大学に籍を置き、真摯に探求され、整理されつくした良質の論文や著書を多く残した。しかし、あまりに複雑なドイツ諸邦の近代の歴史などという分野は、ローマ帝国史などと違って、世間では、残念ながらまったく人気がなかった。また、大学も、全学連闘争、教養部解体などで荒れ、先生のような内なるまっすぐな善を大切にする教員には、生きにくかったことだろう。そのせいか、身近な学生の私たちには快活にお話しになったが、ほかでは口は重く、また、お酒の量も増えた。

 まあ、あの先生のことだから、ようやくそんなこの世の重荷を下ろし、あちらでこそ、おいしいお酒を心ゆくまで堪能しながら、オルガンを弾き、親しいみんなと楽しく語り合われることだろう。そして、ものごとは順番。私も、そろそろいろいろ準備しないといけないのかもしれない。
23:30 | 投票する | 投票数(2) | コメント(0)