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2013/04/14

(20)107回日本精神神経学会総会、広島原爆3歳時被爆PTSD

| by サイコドクターS
「広島原子爆弾三歳時被爆者が原因不明の肝炎発病後にパニック症状を呈しタンドスピロン単剤が著効した1例~放射能への間接的恐怖がPTSD発病に与える影響」
2011年10月107回日本精神神経学会総会:東京

症例は60歳代男性でX-4年に全身倦怠感・肝機能障害・甲状腺機能亢進を認めた。1年近く通院・入院を続けたが、複数回の肝生検でも原因は不明のまま軽快した。身体回復後に不眠と起床後の胸腹部冷感・不安焦燥感が出現するようになりクロチアゼパム・フルニトラゼパムの内服を始めた。効果は不十分で眠気により就労に困難を生じた。X-1年に当院紹介され、X年に演者が初めて診察した。X+1年に3歳時に旧広島市内で被爆し爆風で室内から屋外へ吹き飛ばされたことや、戦後に被爆した伯母が肝癌で苦しんで亡くなったことが思い出された。自らが原爆症として認定されないことへの怒りなども話し合われた。同時にタンドスピロン・クアゼパムへの切り替えが行われた。X+2年には症状は軽快し服薬回数も減少した。次第に補償への欲求も低下していった。直接被爆によりPTSDを発病した。「東京大空襲被災と広島原子爆弾被爆の両方を経験し複雑性PTSDを呈した一例」(広島医学2006)とは異なり、本症例や既に発表した「児童期に広島市北西山間部で原爆による『黒い雨』を浴びた複雑性PTSD患者にタンドスピロンとSDAが著効した一例」(106回日本精神神経学会総会:広島)や「発癌への恐怖を抱く長崎原子爆弾被爆二世に解離症状と自殺企図を認めた一例」(51回中国四国精神神経学会:米子)との共通点として放射能の影響への間接的な恐怖が発病の病因であるトラウマとなっている。1999年に起きた東海村臨界事故におけるPTSD訴訟の原告夫妻の長男であり代表世話人であるフリーライターの大泉実成さんと演者との2008年の意見交換により、近隣住民の放射能被曝への抑圧された恐怖は原爆被爆者の間接的恐怖と類似していることがわかり、今後のPTSDの発病が危惧される。

精神科医が学会で東海村JCO臨界事故PTSDに言及した最初で唯一の例

3・11後の2011年10月に「被ばく地東京」で発表したのに反響は皆無
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