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2012年7月

骨髄移植後血栓性微小血管症の1例

日本小児腎不全学会雑誌
  • 苗代 有鈴
  • ,
  • 三浦 健一郎
  • ,
  • 張田 豊
  • ,
  • 本村 あい
  • ,
  • 樋渡 光輝
  • ,
  • 滝田 順子
  • ,
  • 井田 孔明
  • ,
  • 宇於崎 宏
  • ,
  • 五十嵐 隆

32
開始ページ
195
終了ページ
197
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本小児腎不全学会

骨髄移植後血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy、TMA)を発症し、タクロリムス中止後、一時的な血清Crの回復を認めたが再上昇し遷延した1例を経験した。症例は芽球型NK細胞リンパ腫でHLA完全一致同種非血縁者間骨髄移植を施行し、経過良好であった。移植から5ヵ月後に溶血性貧血、血小板減少、腎機能低下を認めTMAと診断し、タクロリムスを中止した。中止後は血球系や血清Crの改善を認めたが、血清Crのみが再上昇し遷延したため、経皮的腎生検を施行した。腎病理ではメサンギウム基質の増加と基底膜の二重化があり、その部分に血栓を認め、TMAに矛盾しない所見であった。造血細胞移植ガイドラインの病型分類ではnephrotoxicity with MAHA(microangiopathic hemolytic anemia)と考えられた。その場合、生命予後は良好とされるが、腎予後については未だ詳細不明である。本症例はTMAによる腎機能障害の自然経過を示していると考えられるが、組織所見からは末期腎不全への進行も懸念され、今後も慎重なフォローアップが必要である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1341-5875
  • 医中誌Web ID : 2013004557

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