共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

衝突液滴による高次誘導ラマン散乱増強を利用した溶液界面ダイナミクスの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 河野 淳也

課題番号
19K05391
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究は,溶液混合反応の初期過程を明らかにすることを目的とする。そのため,液滴衝突反応研究に高次誘導ラマン散乱光観測を取り入れ,精密化する。具体的には,(1)衝突液滴界面における高次誘導ラマン散乱光の時間プロファイルを観測する装置を開発し,(2)高次誘導ラマン散乱の増強機構を解明する。その結果を踏まえ,(3)高次誘導ラマン散乱光をプローブとすることにより溶液状態と反応進行度を同時観測する。本研究により,液滴衝突によって誘起される反応の全貌を,衝突界面反応を含む初期過程から定量的に明らかにする。2020年度は,以下の研究成果を得た。
(1)高次誘導ラマン散乱波形観測装置の開発:1 GHz以上の広帯域をもつオシロスコープMSOX3102Aを導入し,高次誘導ラマン散乱のバンドごとの時間プロファイルを測定した。高次誘導ラマン散乱光の信号はレーザーに対して数10 nsの遅延時間をもち,数10 ns程度の減衰定数をもつ波形となった。これは当初の想定よりも早い信号であったため,高速光電子増倍管(浜松ホトニクス,H11901-110)と高速増幅器(同,C5594-44)を導入した。
(2)高次誘導ラマン散乱光生成機構の解明:昨年度までの研究によって,単一液滴では高次の光ほど発生時間が遅くなり,衝突液滴では高次光ほどラマン散乱光発生時間が短くなる傾向があることがわかった。一方,単一液滴では高次光ほどラマン散乱光の線幅が狭く,衝突液滴では高次光ほどラマン散乱光の線幅が広くなることがわかっている。これらのことは,単一液滴では液滴内の光伝播過程で誘導ラマン散乱光が増強していくが,衝突液滴では多くのモードが同時に励起されていることを示唆している。

ID情報
  • 課題番号 : 19K05391