MISC

1999年

多様な評価原理からの全員一致:繰り返し評価形成モデル

理論と方法
  • 小林盾

14
1
開始ページ
125
終了ページ
140
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11218/ojjams.14.125
出版者・発行元
数理社会学会

この論文の目的は、他者の効用関数に配慮して評価を形成する時に、全個人の効用関数から評価関数を構成する仕方が多様であっても、評価形成を繰り返せば、最終的な評価関数が全員一致する場合があることを示すことになる。ハルサーニは、全員が功利主義に基づいて等しい重み付けで配慮し合うならば、全員一致した評価関数に至ることを示した。そこでこの論文では、配慮の仕方が多様な場合にも、全員一致するかどうかを検討する。個人が独自の評価原理に基づいて、全員の1期前の評価値を凸結合して今期の評価値と見なすことを同時に繰り返すと仮定して、2つの結果が得られた。(1)互いに少しずつでも配慮し合う限りは、初期の効用関数に関わらず全ての選択肢に関して、最終的な評価関数が必ず全員一致する。(2)誰か1人に集中して配慮する人がいても、残りの人が全員に配慮するならば、やはり全員一致する。この結果から、対照的と考えられてきたマクシミン原理と利己主義原理が同じ性質を持つこと、対立すると捉えられてきた功利主義原理とマクシミン原理が共存できることが、明らかになった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11218/ojjams.14.125
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000511766
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10096921
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/4718706
ID情報
  • DOI : 10.11218/ojjams.14.125
  • ISSN : 0913-1442
  • CiNii Articles ID : 110000511766
  • CiNii Books ID : AN10096921

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